「FSA Analytical Notes(2026.7)vol.2」を公表
概要
金融庁は、高粒度データを活用する『FSA Analytical Notes ―金融庁データ分析事例集―』の一部として、海外債務者向け融資、企業デフォルト率、預金動向に関する3件の分析を掲載したレポートを公表した。金融行政の継続的な改善に向け、データ分析力の向上とデータ整備を進める方針を示している。
要点
- 金融庁は「FSA Analytical Notes(2026.7)vol.2」を公表した。
- 海外債務者向け融資残高は、為替レートの影響を除いても増加傾向にあることが確認された。
- Kinked-ICR(KICR)を基に、貸出金利変化時の企業別デフォルト率変動幅を推計するモデルを構築した。
- 預金残高の増減と預金金利の相関、営業店舗拡充の預金獲得への寄与可能性が示唆された。
- 金融庁はデータ分析力の向上とデータ整備への取組みを進める方針を示した。
概要
金融機関の経営環境や収益構造が変化する中、経済・市場動向の理解と、個別金融機関の経営状況、金融システム全体の強靭性・脆弱性の的確な把握が重要とされる。
金融庁は、貸出データや企業の個社データなどの高粒度データを活用した分析に取り組み、その一部を『FSA Analytical Notes ―金融庁データ分析事例集―』として公表する方針としている。
影響
構築したデフォルトモデルは、与信残高とデフォルト時損失率(LGD)を掛け合わせることで、損失期待値変動による信用コストへの影響試算への応用が期待される。
詳細
共同データプラットフォームの銀行貸出明細等データと外部ベンダーの企業情報を用い、主要行等の海外債務者向け融資を分析した。地域別では北米・アジア・欧州向け、業種別では金融業・製造業向けが中心で、正常先が大宗を占めた。通貨ごとに貸出期間と貸出金利の差異も見られた。
海外債務者の所在国別では米国向けの割合が高い一方、日本を最終親会社(Global Ultimate Owner)とする債務者も相応に含まれていた。
地方銀行の融資先企業に関する匿名化された財務・与信データと貸出明細データ等を用い、事業者向け貸出金利とデフォルト率の相関等を試行的に分析した。
預金残高や預金金利等の動向では、預金取扱金融機関の業態ごとの差異と地域差が確認された。預金残高の変化要因の定量分析では、ここ数年間の預金残高増減と預金金利の相関が示唆された。