令和8年版国土交通白書の概要|第11章国土交通分野のDX・技術研究開発による高度化と効率化
概要
国土交通省は、人口減少・高齢化や担い手不足を背景に、行政手続、インフラ整備・管理、交通、都市、防災など幅広い分野でDXを推進している。i-Construction 2.0では2040年度までに建設現場の省人化3割と生産性1.5倍を目指し、自動施工・遠隔施工・AI活用を進める。ITS、自動運転、地理空間情報、3D都市モデル、データ連携基盤などの活用により、安全性、利便性、生産性、防災対応の向上を図る。さらに、第6期国土交通省技術基本計画に基づき、産学官連携、スタートアップ支援、新技術の公共事業への導入、BIM/CIMや建設機械の自動化を一体的に推進している。
要点
- 行政・インフラ・交通・都市・防災を横断してDXを推進する。
- 建設現場の省人化と生産性向上を自動化・遠隔化で進める。
- データ連携と3D化により政策・まちづくり・防災を高度化する。
- 研究開発から実証、普及まで技術の社会実装を支援する。
概要
社会全体のデジタル化を背景に、国土交通省は行政手続や行政文書のデジタル化、データを活用した政策立案、オープンデータ化を進めている。重点計画や国土交通省DXビジョンに基づき、官民がデータを利用できる環境と新たなサービスの形成を目指す。
インフラ分野のDXは、管理者の働き方や利用者へのサービス・手続を含め、インフラ周辺をスマート化する取組である。3Dハザードマップ、リモート立会い、デジタル配筋検査、自動・遠隔施工などを通じて、調査・設計から施工、検査、維持管理・更新までの建設生産プロセスを変革する。
取組は建設に限られず、ITS、自動運転、地理空間情報、デジタル・ガバメント、水管理、鉄道、ビッグデータ、スマートシティ、港湾、道路などへ広がっている。技術研究開発では、持続可能で強靱な社会と安全・安心で豊かな未来の実現を掲げ、技術政策と社会実装を結び付けている。
主要数値
- i-Construction 2.0の建設現場省人化目標・期限
- 2040年度までに少なくとも3割
- i-Construction 2.0の生産性向上目標
- 1.5倍
- 遠隔施工の試行工事・令和7年度直轄工事
- 42件
- 令和7年度インフラDX大賞の表彰団体数
- 計33団体
- ETC車載器の新規セットアップ累計・令和8年3月時点
- 約9,510万台
- 全国高速道路のETC利用率・令和8年3月時点
- 95.8%
- 料金所渋滞の従来の高速道路渋滞原因に占める割合
- 約3割
- 令和7年度の自動運転導入支援事業
- 全国の地方公共団体67事業
- 自動運転サービス車両数の目標・2030年度
- バス、タクシー、トラックの自動運転サービス車両数1万台
- 電子基準点の設置数
- 全国約1,300か所
影響
建設業では、賃金水準の向上、休日の拡大などの働き方改革と生産性向上を同時に進める基盤となる。自動施工や遠隔施工は、担い手不足への対応、現場の安全性向上、複数機械の運用などに結び付き、地域の守り手としての建設業の機能維持を支える。
道路利用者には、リアルタイムの旅行時間、渋滞、交通規制情報による利便性向上が見込まれる。ETCやETC2.0のデータ活用は、渋滞・事故対策、物流管理、走行燃費の改善、CO2排出を含む環境負荷の軽減に寄与する。
地域では、自動運転が地域公共交通の維持・改善やドライバー不足への対応に活用される。地理空間情報、3D都市モデル、人流データ、都市交通データの共有は、まちづくり、防災・減災、新サービス創出を高度化し、自治体の政策形成を支援する。
水害や土砂災害などの発生時には、洪水予測、浸水範囲・土砂移動箇所の把握、災害情報の集約、火山噴火時の緊急減災対策が、迅速な対応や早期避難を支援する。上下水道では、熟練職員の減少や施設老朽化に対し、デジタル技術が維持管理の効率化に役立つ。
データと技術の共通基盤を整備し、産学官民の連携を広げることで、行政サービスの利便性、インフラ管理の効率、交通の安全、地域の持続性を一体的に高める方向が示されている。
詳細
i-Constructionは平成28年度から、ICTを用いて調査・測量、設計、施工、検査、維持管理・更新の全工程で生産性向上を進めてきた。令和6年4月からはi-Construction 2.0として、建設機械のデータ共有基盤、安全ルール、自動施工、遠隔施工、AI活用など施工のオートメーション化を加速している。
令和7年4月にはインフラ分野のオープンデータの取組方針をまとめ、国土交通データプラットフォームを通じたデータ連携と利活用を促進している。インフラDXアクションプラン第2版は、個別施策の目指す姿と令和8年度までの工程を整理している。
インフラDX大賞は、i-Construction大賞を令和4年度に改称したもので、利用・サービス向上や建設業界以外の取組も対象に含めた。令和7年度は国土交通大臣賞4団体、優秀賞27団体、スタートアップ奨励賞2団体を表彰した。
ITSでは、VICSによる道路交通情報のリアルタイム提供、ETC2.0による渋滞回避・安全運転支援、速度・経路・急ブレーキなどのビッグデータ活用を進めている。データはプライバシーに配慮し、地方公共団体などが利用しやすい提供体制の構築を図る。
自動運転は制度整備と事業化推進の両面で進める。令和6年10月に自動運転ワーキンググループを設置し、事故調査機関の在り方などを検討した。交差点センサ、合流支援・先読み情報などの路車協調システムや走行空間の整備も進めている。
G空間社会に向け、電子基準点、電子国土基本図、国土数値情報などの国土情報基盤を整備・更新する。標高成果の衛星測位基盤への改定、電子国土基本図の全国3次元化、地理院地図、G空間プロジェクト、G空間EXPOなどにより、地理空間情報の共有と活用を広げている。
行政手続では、書面提出を原則オンライン化する方針の下、自動車保有関係手続のOSSを拡大している。令和7年4月には二輪の小型自動車の継続検査等を対象に追加し、PDFによる添付書類の電子提出を4支局等で試行した。
国管理の河川・道路管理用光ファイバでは芯線を民間事業者等へ開放し、道路・河川の収容空間の位置情報について、一元的な公開と手続のワンストップ化を目指している。水管理ではSmart River Spot、流域データプラットフォーム、流域デジタルテストベッド、DiMAPSなどを整備する。
スマートシティ実装化支援事業では、先進技術や官民データを都市課題の解決に活用し、令和7年度に10地区を選定した。Project PLATEAUでは3D都市モデルを整備し、地下構造物、ユースケース開発、人材育成、地域ハッカソン、国際標準化、東南アジアでのデータ整備を進めている。
国土交通データプラットフォームは、国土、経済活動、自然現象のデータを分野横断で検索・取得できる基盤である。令和2年4月の公開後、地図表示、検索・ダウンロード、API、AIによる自然言語検索・分析機能を拡充し、デジタルツインの実現を目指す。港湾ではサイバーポート、道路ではxROADを通じて手続、施設情報、通行確認、道路データの連携を進める。