令和8年版国土交通白書の概要|第4章観光立国の実現と美しい国づくりに向けた施策の動向

概要

観光は、少子高齢化・人口減少下で交流人口と関係人口を拡大し、地域経済と日本経済をけん引する戦略産業と位置付けられている。政府は、令和8年3月27日に閣議決定した新たな観光立国推進基本計画を踏まえ、持続可能な観光、消費額拡大、地方誘客、観光・交通・まちづくりの連携、新技術の活用を軸に施策を推進している。混雑やマナー違反への対応、DMOを核とした地方誘客、高付加価値旅行者の誘致、交通・宿泊・医療などの受入環境整備、国内交流とアウトバウンドの拡大、観光DXや人材確保を進めるとともに、景観、歴史文化、水辺、グリーンインフラを活用した美しい国づくりにも取り組んでいる。

この要約はAIによって自動生成されたものです。内容の正確性については元記事をご確認ください。

要点

  • 観光を地域活性化と経済発展を支える戦略産業として位置付ける。
  • インバウンド拡大と住民生活の質の両立を目指す。
  • 地方誘客、国内交流、アウトバウンドを通じて需要を分散・拡大する。
  • 観光DX、担い手確保、受入環境整備で観光の持続性を高める。
  • 景観・歴史文化・自然資源を活用し、地域の魅力と暮らしの質を向上させる。

概要

観光は、国内外との交流人口・関係人口の拡大を通じて地域活性化を可能にし、地域経済と日本経済の発展をリードする戦略産業と整理されている。少子高齢化と人口減少が進む中、観光客だけでなく地域住民の満足度も高め、日本の魅力と活力を次世代へ継承・発展させることが基本的な意義となる。

観光白書は、観光立国推進基本法第8条第1項及び第2項に基づき、観光の状況、政府が講じた施策、今後講じようとする施策を毎年国会へ報告する年次報告である。令和7年版観光白書は令和7年5月に閣議決定され、国会へ報告された。

政府は「明日の日本を支える観光ビジョン」や四次にわたり策定された観光立国推進基本計画に基づき、中長期的な観光政策を進めてきた。新たな観光立国推進基本計画は令和8年3月27日に閣議決定され、持続可能性、消費額、地方誘客、交通・まちづくり、新技術を政策の主要な軸としている。

政策全体は、戦略的なインバウンド誘客だけに依存せず、混雑・マナー問題を抑えながら地方部への周遊と長期滞在を促し、国内交流、アウトバウンド、観光産業の強靱化、景観・歴史文化を活用した地域づくりを一体的に進める構成である。

主要数値

新たな観光立国推進基本計画の閣議決定日
令和8年3月27日
訪日外国人旅行者数の目標期限
令和12年まで
令和12年の訪日外国人旅行者数目標
6,000万人
登録DMO等の団体数(令和8年4月1日時点)
350団体
登録DMOの団体数(令和8年4月1日時点)
326団体
候補DMOの団体数(令和8年4月1日時点)
24団体
高付加価値旅行者誘致のモデル観光地数
全国14のモデル観光地
訪日クルーズ旅客数(2025年1月〜12月速報)
176.6万人
外国クルーズ船の寄港回数(2025年1月〜12月速報)
2,352回
外国クルーズ船が寄港する港湾数(2025年1月〜12月速報)
93港

影響

地域にとっては、DMOを司令塔とする観光地経営や地域資源の磨き上げにより、観光消費を地域内へ取り込み、交流人口・関係人口の拡大、雇用創出、地域経済の活性化につなげる機会が広がる。都市部に偏る旅行需要を地方へ分散することで、観光の効果を全国へ波及させることも期待される。

住民に対しては、過度な混雑、マナー違反、大型手荷物による公共交通機関の混雑などを抑え、移動・生活の快適性を確保することが重要となる。観光客の増加を地域の負担だけにせず、住民と旅行者双方の満足度を高める運営が求められる。

企業には、観光DXによる生産性向上、省人化設備への投資、外国人材を含む人材確保、高付加価値コンテンツの開発が求められる。クルーズ、MICE、サイクルツーリズム、民泊など多様な市場への対応は、需要拡大の一方で、適切な制度運用と受入品質の確保を必要とする。

行政運営では、交通データや混雑状況を活用した需要管理、地域ごとの受入能力に応じた支援、多言語・医療・バリアフリー環境の整備を組み合わせる必要がある。観光政策は、交通、まちづくり、景観、河川、医療、環境を横断して実施する政策領域となっている。

地域の景観や歴史文化、水辺、自然の機能を観光資源として活用する取組は、旅行者の魅力認知だけでなく、地域住民のウェルビーイング、地域の誇り、持続可能で魅力ある国土・都市・地域の形成にも影響する。

詳細

オーバーツーリズム対策では、令和5年10月に観光立国推進閣僚会議が決定した対策パッケージに基づき、観光客向け移動手段などの受入環境の整備・増強、混雑状況の可視化による需要の分散・平準化、マナー違反の抑制を、各地域の実情に応じて総合的に支援した。訪日外国人の交通機関利用や周遊ルートを把握する流動データ「FF-Data」も公表し、分析やプロモーションの企画・見直しに活用できるようにした。

地方誘客では、DMOの登録と情報提供・体制強化支援、地域周遊・長期滞在に関する調査、戦略策定、滞在コンテンツ、受入環境、旅行商品の流通、プロモーションへの支援、専門家派遣を進めた。高付加価値旅行者向けには、14のモデル観光地でマスタープランに基づくコンテンツ造成とプロモーションを支援し、JNTOのウェブサイト、SNS、旅行会社、インフルエンサー等を使って市場の多様化を図っている。

地域資源の活用では、歴史、自然、食、文化を生かした観光コンテンツの造成・磨き上げ、官民連携によるサイクリングのモデルルート整備、走行・受入環境の改善、情報発信を実施した。国が指定するナショナルサイクルルート制度では、つくば霞ヶ浦りんりんロード、ビワイチ、しまなみ海道サイクリングロード、トカプチ400、太平洋岸自転車道、富山湾岸サイクリングコースを指定している。

MICEでは、地方都市への専門家支援、誘致ノウハウの提供、海外イベントへの出展支援、施設の受入環境整備、ユニークベニューの活用、実証事業、総消費額の算出やコンセッション導入支援を行った。交通・観光基盤では、バスタプロジェクトの全国展開、交通モード間の接続強化、MaaS対応施設の整備、「道の駅」の案内標識改善、高速道路の観光周遊パス販売を進めている。

クルーズ政策では、持続可能な観光、消費額拡大、地方誘客を基本方針とし、港湾の受入機能強化、寄港促進、セミナーや市民向けイベント等を実施した。2025年の訪日クルーズは旅客176.6万人、外国クルーズ船の寄港2,352回、寄港港湾93港となり、日本人クルーズ人口は令和12年までに100万人を目指す方針が示された。

公共交通と観光の利便性向上では、鉄道249区間、バス265区間、旅客船36区間、旅客船ターミナル3港、エアライン17事業者、空港ビル64空港を、外国人観光旅客利便増進措置を講ずべき区間等として令和7年4月に指定した。多言語対応、無料公衆無線LAN、公衆トイレの洋式化・高機能化、多様な移動手段の整備も支援している。

手ぶら観光では、JNTOと連携してウェブサイトによるカウンターの認知度向上を図り、18件を新たに認定した。免税制度では地方部の免税店拡大やリファンド方式への移行に関する周知を進め、「道の駅」を外国人観光案内所の整備、多言語表示、JNTO認定取得を通じた地域の受入拠点としている。

国内交流では、個人と企業の双方を対象に、地域との新たな関係構築と反復継続的な来訪を促す「第2のふるさとづくり」のモデル実証を行った。ユニバーサルツーリズムでは高齢者等の需要喚起に向けた調査検討と宿泊施設等のバリアフリー化を支援し、福島県では教育旅行や外国人延べ宿泊者数の回復に向け、ホープツーリズム等の滞在コンテンツ、プロモーション、風評対策を支援した。

アウトバウンドでは、令和7年の出国日本人数が約1,473万人となり、コロナ禍以降の回復傾向が続いた。旅行会社と学校等が連携する海外教育旅行プログラムの開発や、政府観光局等と連携した普及啓発を進めている。

観光産業の強靱化では、観光DXにより旅行者の利便性向上、周遊促進、産業の生産性向上、観光地経営の高度化を図った。人材不足への対応として国内外の採用活動、外国人材の活用、宿泊施設の省人化設備投資、事例展開を支援している。

関連記事