第8章 戦略的国際展開と国際貢献の強化
概要
第8章「戦略的国際展開と国際貢献の強化」は、インフラシステムの海外展開、国際交渉・連携、国際標準化に向けた取組を扱う。第1節「インフラシステム海外展開の促進」では、政府の方向性、国土交通省の施策、支援手法、各国・地域での取組を記載する。第2節「国際交渉・連携等の推進」は、経済連携や国際機関への貢献、分野別の二国間・多国間協力を説明し、第3節「国際標準化に向けた取組」は、自動車、鉄道、船舶、道路、上下水道、物流、港湾などの基準・規格に関する活動を示す。政府は令和6年12月に「インフラシステム海外展開戦略2030」を策定し、3つの柱に沿って官民で展開を進める。国土交通省は案件形成から受注後の支援までを行い、各国・地域、国際機関との協力や技術協力、標準化を進めている。
要点
- 政府は「インフラシステム海外展開戦略2030」に3つの柱を整理した。
- 国土交通省は、行動計画に基づき海外展開に関する施策を推進する。
- 各国・地域、国際機関との協力や国際交渉に取り組む。
- 各分野で国際標準化を進める。
概要
新興国を中心に世界のインフラ需要が膨大である一方、気候変動、国際秩序の分断リスク、人道危機などが複合的に生じている。カントリーリスクなどの投資・事業環境上のリスクやサプライチェーン途絶も課題として挙げられている。
政府は平成25年3月に経協インフラ戦略会議を設置し、政府一体でインフラ海外展開に取り組んできた。環境の変化を踏まえ、令和6年12月に政府全体の方向性を示す「インフラシステム海外展開戦略2030」を策定した。
同戦略は、相手国との共創による「稼ぐ力」と国際競争力の向上、経済安全保障等への対応と国益の確保、GX・DX等の社会変革を機会として取り込む対応を3つの柱としている。
詳細
国土交通省は行動計画に基づき、相手国の上位計画段階から関与し、トップセールスや政府間対話で情報発信する。PPPの環境整備、強みを生かした案件形成、コンサルタント調査の質向上、企業の競争力強化、人材確保・育成、受注後のフォローやトラブル対応も施策に含む。
海外交通・都市開発事業支援機構(JOIN)は、リスクを分担し、出資や人材派遣を通じて事業に参画する官民ファンドとして平成26年に設立された。令和5年度決算で損失を計上した後、有識者委員会の最終報告を踏まえた経営改善策の進捗を報告し、新規支援決定を再開する方針を示した。
官民合同の協議会等で情報提供やビジネスマッチングの機会を設け、中堅・中小企業やスタートアップの海外展開を支援する。スマートシティ分野ではSmart JAMPやJASCA、交通ソフトインフラ分野ではJASTの活動を通じて取組を進める。
各国・地域の取組として、インドネシアではジャカルタ都市高速鉄道や下水道事業、ベトナムでは水分野の協力、インドでは高速鉄道や道路技術に関する協力が記されている。ウクライナではインフラ復興に関する官民協議会の活動、アフリカでは官民インフラ会議等が行われている。
国際交渉・連携ではEPA/FTAやWTO、APEC、ASEAN、OECD、国連機関、G7・G20、世界銀行等の枠組みで活動している。分野別には上下水道、防災、道路、住宅・建築、鉄道、海事、航空、物流、気象・地震津波、海上保安、観光等について、協力や情報交換、技術協力を実施している。
国際標準化の取組は、自動車基準・認証、鉄道、船舶・船員、土木・建築、ITS、地理情報、技術者資格、上下水道、物流、港湾、水防災等を対象とする。国際機関での規格策定や基準の普及、相手国での採用に向けた働きかけを進めており、ベトナムでは港湾施設に関する国家技術基準10項目が発行された。