循環経済行動計画に基づく今後の我が国の循環経済ビジョン|第1章循環経済を国家戦略として加速する日本の行動計画
概要
循環経済への移行を、環境負荷の低減に加え、産業競争力、地域活性化、経済安全保障を支える国家戦略として位置付ける政策方針である。政府は2024年に基本計画、関係閣僚会議、移行加速化パッケージを整備し、2026年には循環経済行動計画を公表した。再生資源の供給網強靱化、国際資源循環ネットワーク、メタルリサイクル、再資源化拠点への官民投資を通じ、2030年に向けた移行加速を目指す。
要点
- 循環経済は環境対策と成長、経済安全保障を横断して支える戦略と位置付けられる。
- 資源循環は、我が国の温室効果ガス排出量の約36%に相当する部門由来の排出削減に貢献できると推計される。
- 2026年4月に循環経済行動計画が公表され、再生資源供給網の強靱化などを進める方針が示された。
- 金属・プラスチックの再資源化拠点などに、官民で約1兆円の投資を目指す。
概要
循環経済は、資源消費を最小化し、廃棄物の発生抑制と環境負荷の低減を図りながら、廃棄物等を資源として有効活用し、付加価値と新たな成長を生み出す考え方である。
資源循環はライフサイクル全体の温室効果ガス低減を通じてネット・ゼロに資するとともに、生物多様性の損失を止めて回復軌道に乗せるネイチャーポジティブにもつながる。このため、ネット・ゼロ、循環経済、ネイチャーポジティブの連携が、経済・社会・政治・技術にまたがる社会変革で重要とされる。
日本の製造業は高度なオペレーション、熟練技能者、高い現場生産性を強みとし、地域ごとには循環資源・再生可能資源が存在する。製造業と廃棄物処理・リサイクル業の技術力を生かし、地域特性に応じた資源循環を広げることが想定されている。
主要数値
- 資源循環による削減貢献の対象となる温室効果ガス排出量の割合
- 約36%
- 第五次循環型社会形成推進基本計画の閣議決定
- 2024年8月
- 循環経済に関する関係閣僚会議の設置
- 2024年7月
- 循環経済への移行加速化パッケージの公表
- 2024年12月
- 関係閣僚会議の構成員拡充・幹事会設置
- 2026年3月
- 循環経済行動計画の公表
- 2026年4月
- 鉄・永久磁石等の再生材供給目標の目標年
- 2030年
- 金属・プラスチック再資源化拠点等への官民投資目標
- 約1兆円
影響
事業者間連携によりライフサイクル全体で資源循環を徹底し、再生材の利用を広げることは、再生材利用に関する定量目標を設ける各国の動きへの対応となり、日本の国際的な産業競争力の強化につながる。
国際的な緊張と資源獲得競争の高まりを背景に、国内で資源を循環・最大活用することは、国内の資源供給量を増やし、輸入物価上昇の影響を縮小させ得る。重要鉱物等の供給増加を通じ、経済安全保障の強化にも資する。
地域の循環資源や再生可能資源を活用する取組は、地域活性化の起爆剤となり得る。循環経済は、質の高い暮らしの実現、環境保全、資源の確保と安定供給にも寄与するものとして位置付けられている。
詳細
政府は2024年8月に「第五次循環型社会形成推進基本計画」を閣議決定した。同計画を含む関連施策を政府全体で戦略的・統合的に実施するため、同年7月に「循環経済に関する関係閣僚会議」を設置し、同年12月に「循環経済(サーキュラーエコノミー)への移行加速化パッケージ」を公表した。
関係閣僚会議は内閣官房長官を議長、環境大臣と経済産業大臣を副議長とし、農林水産大臣、国土交通大臣等の関係省庁で構成される。2026年3月には総務大臣、外務大臣、財務大臣が構成員に加わり、会議の下に局長級の幹事会が設置された。
2026年4月公表の「循環経済行動計画」は、循環経済への移行を日本の「勝ち筋」とし、再生資源供給サプライチェーンの強靱化、日本をハブとする国際資源循環ネットワークの構築を今後の施策に掲げた。2030年に向けては、鉄や永久磁石等の再生材供給目標を設定した「メタルリサイクル推進戦略」を同計画に位置付け、金属・プラスチックの再資源化拠点構築等に官民で約1兆円を投資する目標を示した。