循環経済行動計画に基づく今後の我が国の循環経済ビジョン|第7章循環型社会の形成と循環経済への移行
概要
日本は、天然資源の消費を抑え環境負荷を低減する循環型社会の形成に向け、廃棄物の発生抑制、再利用、再資源化、適正処分を進めている。第五次循環型社会形成推進基本計画は、資源生産性や循環利用率、最終処分量などについて2030年度目標を設定した。2024年度の一般廃棄物総排出量は3,811万トン、2023年度の産業廃棄物排出量は3億6,725万トンだった。資源有効利用促進法の改正、再資源化事業等高度化法の施行、官民投資、産官学連携を通じて、再生材の利用、環境配慮設計、高度な再資源化を促進している。地域ではバイオマス、廃棄物エネルギー、下水汚泥等を活用した地域循環システムを構築し、災害廃棄物や有害廃棄物の適正処理、国際的なルール形成と循環産業の海外展開も進めている。福島では除染、中間貯蔵、県外最終処分、帰還困難区域の復興を継続している。
要点
- 廃棄物対策は資源制約、脱炭素、産業競争力を一体で扱う政策へ移行している。
- 2030年度目標に向け、資源生産性と循環利用率の改善が進んでいる。
- 製品・素材ごとの制度と地域連携により、ライフサイクル全体の循環を強化している。
- 適正処理、災害対応、国際協力、福島の環境再生を循環政策の基盤としている。
概要
循環型社会は、天然資源の消費を抑制し、環境への負荷をできる限り低減する社会として位置付けられる。政策は、廃棄物の発生量と処理状況を把握し、資源の入口、循環、出口を一つの物質フローとして管理する方向に広がっている。
第五次循環型社会形成推進基本計画は2024年8月に閣議決定され、物質フローに関する各指標の目標年次を2030年度とした。資源生産性、一人当たり天然資源消費量、再生可能資源及び循環資源の投入割合、入口側・出口側の循環利用率、最終処分量を継続的に評価する枠組みである。
政策の中心は、単にリサイクル量を増やすことから、再生材の質と需要を高め、製品設計、製造、流通、使用、回収、処理を結び付ける循環経済への移行へと進んでいる。
主要数値
- 2030年度目標・資源生産性
- 約60万円/トン
- 2023年度実績・資源生産性
- 約50.9万円/トン
- 2030年度目標・一人当たり天然資源消費量
- 約11トン/人・年
- 2030年度目標・再生可能資源及び循環資源の投入割合
- 約34%
- 2030年度目標・入口側の循環利用率
- 約19%
- 2030年度目標・出口側の循環利用率
- 約44%
- 2030年度目標・最終処分量
- 約1,100万トン
- 2024年度・一般廃棄物総排出量
- 3,811万トン
- 2023年度・産業廃棄物排出量
- 3億6,725万トン
- 官民投資目標・2023年度以降10年間
- 官民合わせて2兆円超
影響
企業には、再生資源の利用計画と定期報告、環境配慮設計、再資源化しやすい製品づくり、回収・再資源化事業への参画が求められる。再生材の安定供給と需要拡大は、資源輸入への依存を抑え、関連産業の競争力や新たな市場形成に影響する。
自治体には、ごみ・し尿処理、最終処分場の確保、プラスチックや小型家電の分別回収、リチウムイオン電池による火災防止、災害廃棄物処理計画の整備が必要となる。地域資源の活用は、雇用、地場産業、脱炭素化、災害対応力の向上を同時に支える。
住民や消費者には、分別、食品ロス削減、使い捨てプラスチックの使用抑制、適正な小型電子機器・電池の排出など、日常行動を通じた制度参加が求められる。情報発信や表彰、教育活動は、3Rを継続的な生活習慣へ定着させる役割を担う。
国際面では、循環性の情報開示や有害廃棄物の越境移動に関する共通ルールが企業活動と資源取引を左右する。日本はアジア太平洋、アフリカ、国際機関との協力を通じ、制度・技術・人材を共有しながら国内循環産業の海外展開を進めている。
詳細
物質フローの2023年度実績では、資源生産性は約50.9万円/トン、一人当たり天然資源消費量は約12.1トン/人・年、再生可能資源及び循環資源の投入割合は約30.1%、入口側の循環利用率は約17.0%、出口側の循環利用率は約43.6%、最終処分量は約1,200万トンだった。2000年度比では、資源生産性が約101%上昇し、最終処分量が約79%減少した。
2024年度の一般廃棄物では、総資源化量が738万トン、最終処分量が306万トンだった。し尿及び浄化槽汚泥の計画処理量は1,906万kLで、その98.8%がし尿処理施設又は下水道投入で処理された。産業廃棄物は、2023年度に再生利用量が2億79万トン、最終処分量が875万トンとなった。
分野別では、2024年の廃プラスチック有効利用率が約89%、家電4品目の引取台数が1,458万台、再商品化率は品目別に72〜93%、食品ロスは2023年度に約464万トンだった。食品関連事業者の再生利用等実施率は90%だが、外食産業は34%で、業態差が残る。
制度面では、資源有効利用促進法の改正法案が2025年5月に成立し、再生資源の利用計画、環境配慮設計、GX原材料の再資源化、サーキュラーエコノミー・コマースを盛り込んだ。再資源化事業等高度化法は2025年11月21日に全面施行され、高度な再資源化事業の認定制度を設けた。
2025年度から3年間で400億円の支援を行い、長寿命化、再資源化の容易性、技術開発、設備投資を後押ししている。産官学パートナーシップ「サーキュラーパートナーズ」は2023年9月に立ち上がり、会員数は850者以上となった。
地域施策では、資源循環自治体フォーラムを全国7地域で開催し、全国版と地方版を合わせて参加者総数が2,000名を超えた。バイオマス産業都市は2025年度に3市町が選定され、累計107市町村となった。ごみ焼却施設では余熱利用施設が710施設、ごみ発電量が約105億kWhだった。
適正処理では、2024年度に新たに判明した産業廃棄物の不法投棄事案が106件、2025年3月末時点の残存事案が2,920件だった。リチウムイオン電池等に起因し消火活動が必要となった火災事故等は2024年度に9,923件であり、電子マニフェスト普及率は2025年3月末時点で86.9%、産業廃棄物委託処理量の捕捉率目標は2030年度75%である。
福島県では、除去土壌等の仮置場等1,372か所のうち2026年2月時点で1,362か所から搬出が完了し、1,303か所で原状回復が完了した。中間貯蔵施設への累計搬入量は2026年3月末までに約1,400万m3である。中間貯蔵開始後30年以内に県外最終処分を完了する法的枠組みに基づき、再生利用と最終処分量の低減を進めている。
国際協力では、2025年3月のアジア太平洋3R・循環経済推進フォーラム第12回会合で、2025〜2035年の共通ビジョンと13のゴールを定めたジャイプール宣言を採択した。アフリカのきれいな街プラットフォームは2026年4月時点で48か国・239都市に拡大している。