令和8年版国土交通白書の概要|第3章令和8年版国土交通白書:復旧・復興から持続可能な国土・交通政策へ
概要
令和8年版国土交通白書の概要は、能登半島地震・豪雨と東日本大震災からの復旧・復興、津波防災、国土利用・形成、社会資本の老朽化対策、交通政策、海洋政策、海上保安、土地政策、官民連携、政策評価を体系的に示す。被災地ではインフラ復旧や復興まちづくりを進め、福島の原子力災害被災地域では令和8年度からの5年間を重要期間と位置付ける。国土政策では地域生活圏、全国的な回廊ネットワーク、日本中央回廊、持続可能で自然と共生する国土利用を推進する。インフラでは予防保全、群マネ、新技術の社会実装を進め、社会資本整備・交通・国土強靱化を一体的に展開する。交通空白の解消、海洋権益の保全、海上保安能力の強化、所有者不明土地対策、官民連携、評価と対話を通じ、人口減少や災害、老朽化、地域交通の縮小などに対応する方向性を示している。
要点
- 復旧・復興では、被災者の暮らしとなりわいの再生を支えるインフラとまちの再建を重視する。
- 人口減少・高齢化を前提に、地域生活圏と広域的な拠点連結型国土を形成する。
- 老朽インフラには予防保全、群マネ、新技術活用を組み合わせて対応する。
- 交通空白の解消、海洋安全、土地管理、政策評価を官民・地域連携で進める。
概要
白書は、災害復旧・復興を起点に、国土の利用と形成、社会資本整備、交通、海洋、土地、官民連携、政策評価までを一体的な国土交通行政の課題として整理している。
能登半島地震・豪雨では、二次災害に直結する切迫した被災箇所の応急対策がすべて終了し、インフラの機能回復対策と本復旧が進んでいる。東日本大震災の地震・津波被災地域は復興の総仕上げ段階にある。
福島の原子力災害被災地域では、令和8年度からの第3期復興・創生期間の5年間を、住民帰還に必要なインフラ整備を強力に進める重要期間と位置付け、除染と復旧、市街地整備、観光振興を地域と進める。
津波防災地域づくりでは、令和8年3月末時点で、最大クラスの津波に対応する浸水想定を40都道府県、津波災害警戒区域を31道府県で設定し、総合推進計画を24市町で作成している。
国土形成計画は、人口減少や高齢化、災害リスク、生態系の確保を踏まえ、地域全体の利益を実現する土地利用、自然と共生する国土管理、デジタルとリアルが融合する地域生活圏を進める。
主要数値
- 第3期復興・創生期間の開始年度
- 令和8年度
- 第3期復興・創生期間
- 5年間
- 津波浸水想定の設定(令和8年3月末時点)
- 40都道府県
- 津波災害警戒区域の指定(令和8年3月末時点)
- 31道府県
- 津波防災地域づくり総合推進計画の作成(令和8年3月末時点)
- 24市町
- 予防保全への転換による維持管理・更新費の縮減見込み
- 今後30年間の累計で約3割縮減
- 第1次国土強靱化実施中期計画の計画期間
- 令和8年度から令和12年度までの5年間
- 交通空白解消・集中対策期間
- 令和7年度から令和9年度まで
- 交通空白解消に向けた自治体訪問
- 約400自治体
- 交通空白解消のパイロット・プロジェクト
- 計30件
影響
被災地域では、インフラの機能回復や復興まちづくりが、住民の帰還、生活再建、なりわいの再生を可能にする基盤となる。一方、福島の一部地域では不自由な生活が続いており、復旧の進捗と地域ごとの課題に応じた継続支援が必要になる。
予防保全や群マネは、自治体の人員・予算制約の下で、インフラの安全性を維持しながら費用を縮減・平準化する方向を示す。点検や修繕の優先順位を明確にし、地域単位で施設を管理することで、道路、上下水道などの継続利用を支える。
地域交通の再設計は、買い物、医療、教育へのアクセスを確保し、人口減少地域の暮らしと安全を支える。共同化、データ活用、デジタル化が進めば、交通事業者、自治体、企業の連携によるサービス維持と改善につながる。
海洋調査・海洋情報の一元化、海上保安能力の強化、国際協力は、航行の安全、海洋権益、漁業、環境保全を支える。土地政策では所有者不明土地や管理不全土地への対応が、災害復旧、インフラ整備、地域利用の円滑化に影響する。
インフラ整備の将来見通しの可視化、官民連携、政策・事業評価、国民からの意見収集を組み合わせることで、投資効果、行政の透明性、施策の実効性を高める運営を目指している。
詳細
国土利用計画では、地域全体の利益、災害リスクを踏まえた賢い利用、生態系の確保を基本方針とし、管理構想に基づいて優先的に維持する農地等を明確化する。国土形成計画では、全国的な回廊ネットワーク、日本中央回廊、シームレスな拠点連結型国土を構想し、二地域居住や地域生活圏の形成を実装手段とする。
インフラ長寿命化では、平成25年11月の基本計画、平成26年5月の国土交通省行動計画、令和3年6月の改定を基礎に、個別施設の長寿命化計画、点検、新技術、自治体支援を進める。八潮市の道路陥没事故を踏まえ、見える化と重点化を議論し、群マネの手引きを公表して全国展開を図る。
インフラメンテナンス国民会議は、地方フォーラムや市区町村長会議と連携し、シンポジウム、課題と技術のマッチング、表彰を行う。道路分野では研究開発、新技術導入促進計画、性能カタログ、補助制度を通じ、橋梁・トンネル等の点検と修繕への活用を進める。
第6次社会資本整備重点計画は令和8年1月に閣議決定され、令和12年度までに、持続可能な地域社会、強靱な経済社会、グリーン社会、整備を支える基盤の強化という4つの重点目標を達成する。地方ブロック計画とインフラみらいマップで事業概要、完成時期、効果を示す。
第3次交通政策基本計画は令和7年度から令和12年度までを対象とし、地域課題に適応した交通、成長型経済を支える交通ネットワーク、安全・安心な交通基盤、デジタル・新技術によるサービス進化の4本柱を掲げる。交通空白対策では約500件の支援を行い、官民連携プラットフォームには令和7年度末までに1,644団体が参画した。
交通空白対策では、自治体向けポータル、アップデートガイダンス、研修、全国6都市でのマッチングイベントを実施し、共同配車管理システムの開発・オープンソース化を進める。令和7年4月には地域交通DXプロジェクトCOMmmmONSを始動し、制度改正案を令和8年3月に国会提出した。
海洋政策では、第4期海洋基本計画と海洋開発等重点戦略に基づき、海上保安、旅客船安全、離島保全、洋上風力、ゼロエミッション船、海洋ドローン、海洋人材を推進する。「海しる」は250項目以上の海洋データを地図上で扱い、APIも公開している。
沖ノ鳥島では約40万km2の排他的経済水域の基礎として観測、護岸等の点検・補修、観測拠点更新を行う。低潮線保全法等に基づき185の低潮線保全区域を指定し、南鳥島・沖ノ鳥島では港湾施設の整備と管理を進める。
海上保安能力強化では、巡視船・航空機の増強、無操縦者航空機、新技術、関係機関との連携、人材・職場環境の改善を進める。令和7年度には大型巡視船4隻、中型ヘリコプター1機、無操縦者航空機2機が就役し、令和7年度末までに23か国へ計159回派遣、8か国1機関へ28回のオンライン研修を実施した。
土地政策では、所有者不明土地法、土地基本法改正、民事基本法制の見直し、同法改正を通じて利用・管理を整備する。空き地ガイドラインを令和7年4月に公表し、国土利用計画法施行規則を令和7年7月と令和8年4月に施行する形で、権利取得者の国籍等の届出事項を追加した。地籍調査は第7次国土調査事業十箇年計画の令和2〜11年度に基づく。