OECDが発表した「雇用見通し2025」について、堅調な労働市場の現状と高齢化が経済成長に与える影響を分析したものです。
OECD諸国の労働市場は、GDP成長率の鈍化にもかかわらず堅調さを維持しています。2025年第1四半期の失業率は4.9%と歴史的な低水準で安定し、18カ国で雇用率が過去最高を記録しました。実質賃金は平均2.5ポイント上昇し、雇用率は0.12ポイント増加しています。日本の失業率は2025年5月時点で4.9%となっています。
高齢化の影響は深刻で、高齢者扶養率は1980年の19%から2023年には31%に上昇し、2060年には52%に達すると予測されています。これにより、一人当たり潜在GDP成長率は年率1%から0.6%に低下する見込みです。日本では特に深刻で、1995年以降生産年齢人口が16%減少し、高齢者扶養率は2024年の49%から2060年には74%に達すると予測されています。
OECDは対策として、健康な高齢者、女性、規制された移民の労働参加率向上を提言しています。また、生涯学習への投資、包摂的な雇用慣行の促進、AI技術の慎重な導入も推奨されています。日本については、ジェンダー間の雇用ギャップ解消と移民受け入れにより、潜在GDP成長率を0.33%押し上げる可能性があると指摘しています。
記事は、OECD諸国が堅調な労働市場を維持しながらも、急速な高齢化による経済成長への制約に直面しており、労働参加率の向上と生産性の改善が今後の持続的成長の鍵となると結論づけています。