ドイツ:新たな労働時間政策案に対する労働者の反応~IAB調査:海外労働情報

ドイツ労働市場・職業研究所(IAB)が実施した、メルツ連立政権の新たな労働時間政策案に対する労働者の意識調査結果を報告したものです。

新労働時間政策の概要

メルツ連立政権は、連立協定において労働時間制度の柔軟化と残業インセンティブの強化を掲げています。具体的には、EU労働時間指令の順守を前提として、最長労働時間を「1日単位」から「週単位」へ変更すること、団体協約等に基づく所定のフルタイム労働時間を超える残業手当を非課税とすること、パートタイム労働者が労働時間を延長する際の社会保険料に対する税制優遇措置などが提案されています。これらの政策は、少子高齢化と人手不足への対応策として打ち出されましたが、労使間では依然として意見の隔たりがあります。

現行労働時間制度と実態

現行の労働時間法では、1日の労働時間は8時間を超えてはならず、6か月間または24週間の平均で1日8時間を超えない限り、最大で1日10時間まで延長可能と規定されています。しかし、IABの調査によると、フルタイム労働者の10%が頻繁に1日10時間を超えて勤務していることが明らかになりました。これには、農業、医療、介護など法的に例外が認められているグループや、協約外職員、管理的職員など法の適用対象外の層が含まれている可能性があります。

労働時間上限規制への意識

労働者の意識調査では、全体の34%(約3分の1)が「1日10時間を超えて働いてもよい」と回答しました。一方で、「1日の労働時間に上限を設けるべきではない」という無制限案には73%が明確に反対し、過労防止の観点から「労働時間の上限は必要である」と回答した割合は84%に達しました。この結果から、一定の柔軟性は認めつつも、過労防止のための規制には広く支持があることが示されています。

残業手当の現状と課題

調査では、51%の労働者が「残業は可能だが、手当が支給されない、または手当の有無が不明」と回答しました。この中には、労働時間口座制度を利用して休暇で相殺している者や、基本給に残業分が含まれている管理職などが含まれています。「働いた時間に応じて割増の残業手当が確実に支給される」と回答したのは、わずか14%にとどまりました。このため、非課税の残業手当制度が導入されても、その恩恵を確実に受けられる労働者は限定的である可能性が高いとIABは指摘しています。

年齢層による残業意欲の差

非課税の残業手当により手取りが約2割増加すると仮定した場合、30歳以下の若年層では約60%が「追加の残業をする」と回答しました。しかし、この割合は年齢とともに低下し、61歳以上では37%にとどまりました。パートタイム労働者についても同様の傾向が見られ、一時的な特別手当(週10時間延長で2,000ユーロ)を条件とした労働時間の恒久的延長に対しては、30歳以下で48%が受け入れる一方、61歳以上では24%と半分になりました。若年層の方が仕事・家庭・余暇のバランスにおいて柔軟性が高い可能性が示唆されています。

記事は、労働時間に対する労働者の考え方は雇用形態や年齢によって多様であり、今後の法改正では個別の対応策が必要になると結論づけています。

※ この要約はAIによって自動生成されました。正確性については元記事をご参照ください。