米国の主要都市・州における2025年7月の最低賃金改定状況と、カリフォルニア州の医療施設従事者向け特別最低賃金制度について報告したものです。
主要なポイント
1. 最低賃金改定の全体状況
- 連邦最低賃金は2009年7月以降、時給7.25ドルで据え置き
- ワシントンD.C.、カリフォルニア州主要都市、アラスカ州、オレゴン州等が7月1日に改定
- 物価連動方式を採用する地域では2-3%の引き上げ率
- 全米50州の約半数が連邦最賃より高い水準を設定し、毎年改定を継続
2. 主要地域の改定状況
- ワシントンD.C.:時給17.50ドル→17.95ドル(2.57%上昇、物価連動)
- サンフランシスコ市:時給18.67ドル→19.18ドル(2.73%上昇)
- ロサンゼルス市:時給17.28ドル→17.87ドル(3.41%上昇)
- アラスカ州:時給11.91ドル→13.00ドル(9.15%上昇、段階的引き上げ)
- オレゴン州:都市部・非都市部・ポートランド都市圏で異なる水準を設定
3. 特定業種向け高水準最低賃金
- カリフォルニア州のホテル従業員向け最賃が時給20ドル超の高水準
- ロサンゼルス市:時給22.50ドル(客室60室以上、現在実施凍結中)
- ロングビーチ市:時給25.00ドル(ホテル従業員対象)
- ウエストハリウッド市:時給20.22ドル(ホテル従業員対象)
- ロサンゼルス市では2028年までに時給30ドルを目指すが、業界が反発
4. カリフォルニア州の医療施設従事者向け最低賃金
- 2023年10月に州法成立、2024年10月16日施行
- 医師・看護師だけでなく清掃員・調理人・警備員等も対象
- 施設規模により4区分で段階的引き上げ(最終目標:時給25ドル)
- 大規模施設:時給23ドル→24ドル(2026年7月に25ドル到達予定)
- セーフティネット病院:時給18ドル→18.63ドル(2033年7月に25ドル到達予定)
5. 今後の動向と課題
- フロリダ州:2025年9月に時給13ドル→14ドルへ引き上げ予定
- ワシントン州の主要都市では時給20ドル前後の高水準が標準化
- チップ労働者向け最賃制度の統一化(D.C.では2027年7月までに一般労働者と同額に)
- カリフォルニア州マリブ市は森林火災の影響で引き上げを1年間据え置き
記事は、米国の最低賃金が地域により大きく異なり、特に西海岸主要都市では業種別の高水準最賃設定が進んでいる現状を示し、物価上昇への対応と労働者保護のバランスが政策課題となっていると結論づけています。