中国政府が発表した「障害者雇用促進三か年行動計画（2025～2027年）」の内容と、障害者の就職・職業訓練・社会保障の現状について報告したものです。
主要なポイント
1. 政府機関による障害者雇用の義務化
- 省・市レベルの行政機関（編制50人以上）および事業系政府組織（編制67人以上）に障害者採用枠設置を義務化
- 2027年末までに少なくとも1人の障害者雇用を達成
- 年齢・戸籍条件の緩和、過剰な身体的要件の禁止
- 雇用状況の統計作成と情報公表を義務化
2. 企業への障害者雇用促進策
- 年1回以上の障害者対象特別雇用イベント開催を要求（国有企業は参加義務）
- 障害者雇用率制度（常用労働者総数の1.5%以上）の履行状況報告を義務化
- 積極採用企業への税制優遇措置と金融支援
- 中国身体障害者連合会主催の雇用主研修への参加推進
3. 起業・フレキシブルな就労支援
- 障害者向け起業インキュベーション施設の設置
- 「インターネット＋就業・起業」モデルによるオンライン支援
- 公設市場・夜市・自動販売機・宅配受取所での出店機会確保
- 屋台使用料減免、融資支援の強化
4. 特定対象者への重点支援
- 障害のある大学生：個別就職支援台帳整備、優先採用対象化
- 農村部障害者：定期訪問、実用技術研修、農村EC・ライブ配信支援
- 視覚障害者：マッサージ医院建設、資格取得支援、ブランド化促進
- 補助的業務の雇用形態（知的・精神・重度肢体障害者向け）の推進
5. 2024年の障害者就労実績
- 都市・農村部の資格保有障害者就職者数：914.4万人
- 新規就職者数：51.2万人（都市部14万人、農村部37.2万人）
- 障害者就職支援基地2,941か所で3.9万人を支援
- 基本年金保険加入者：2,748.9万人、年金受給者：1,246.1万人
- 視覚障害者向けマッサージ機関：保健マッサージ22,771か所、医療マッサージ1,259か所
記事は、中国政府が法的・制度的な整備を通じて障害者の就労機会拡大と権利保護を推進しており、特に政府機関での雇用義務化と特定対象者への重点支援により、包括的な障害者雇用促進体制の構築を目指していると結論づけています。