令和7年8月21日、横浜で開催された第9回アフリカ開発会議(TICAD9)において、日本政府とアフリカ開発銀行(AfDB)は「アフリカの民間セクター開発のための共同イニシアティブ」第6フェーズ(EPSA6)の下で、2026年から2028年の3年間に最大55億ドルの資金協力を行うことを発表した。EPSA5(2023-2025年)の50億ドルから5億ドル増額となった。
EPSA6の重点分野と新たな取り組み
EPSA6では、従来の「電力、連結性、保健、農業・栄養」の4分野に加えて、防災等の「強靭性」を新たに重点分野に追加した。この拡充により、アフリカ大陸の気候変動対応力強化と持続可能な発展基盤構築を支援する。政府向け支援として、AfDBとJICAが行う協調融資(ACFA: Accelerated Co-financing Facility for Africa)において、G20共通枠組やIMFプログラムの下で債務状況の改善に取り組む国への支援を強化し、債務持続可能性に配慮した開発協力を実現する。
革新的金融スキームの導入
民間向け長期支援(NSL: Non-Sovereign Loans)では、JICAからAfDBへの円借款を通じてAfDBのノンソブリン事業を支援する新しいファシリティーを創設した。円借款の譲許性を活用してAfDBが民間企業への貸出金利を引き下げることで、より多くの民間資金動員を実現する。また、「JICAアフリカインパクト投資イニシアティブ」(IDEA: Impact Investing for Development of Emerging Africa)を通じた官民総額15億ドルの社会課題解決型投資により、JICAとAfDBの協調関係を深化させる。
加藤財務大臣の政策表明と戦略的意義
加藤勝信財務大臣兼金融担当大臣は署名式において、「2005年から開始されたEPSAは、日本の資金や技術とアフリカ開発銀行の現地の知見やプレゼンスを活かして、民間向けの資金供給のほか、インフラ整備をはじめ政府向けの支援を通じて、アフリカの民間セクターの支援に取り組んできた」と20年間の実績を評価した。EPSA6では債務問題への支援強化など機能拡充を行い、3年間で最大55億ドルの支援を実施すると表明した。
長期的パートナーシップの発展
田中明彦JICA理事長は、「EPSAは第6期を迎え、JICAとAfDBの協調融資はこの20年で約120億ドルに達した」と協力実績を報告し、新たに「Mission 300」というアフリカ電化促進のためのAfDBと世界銀行の共同イニシアティブや債務問題への支援に積極的に取り組む意向を示した。ケビン・カリウキAfDB副総裁は、EPSAを「バイの支援として最大・最長となるパートナーシップ」と評価し、ブレンデッドファイナンスを活用した新たな民間セクター支援の実施を強調した。
アフリカ経済発展への戦略的貢献
EPSAは、豊富な天然資源、若い人口構成、急速な人口増加を背景とした市場拡大が見込まれるアフリカ大陸の経済潜在力を最大化し、日本とアフリカの互恵的関係強化を目指している。2005年のG8グレンイーグルズ・サミットで発表されて以来、TICADの場で継続的にアップデートされており、今回のEPSA6により日本の対アフリカ開発協力政策の中核的枠組みとしての地位を確固たるものにした。