TICAD 9の開催概要と成果
2025年8月20日から21日にかけて、神奈川県横浜市において第9回アフリカ開発会議（TICAD 9）が開催された。石破内閣総理大臣が共同議長を務め、アンゴラ共和国のジョアン・ロウレンソ大統領（アフリカ連合議長）と共に主催した。参加規模はアフリカ49か国からの参加を含む100か国・地域からの代表、加えて国際機関、開発パートナー、民間企業、市民社会が参加し、TICAD史上最大規模となった。会議の成果として、計324件の署名文書が確認・披露され、日本とアフリカの経済・開発協力における新たな段階を示した。
横浜宣言の採択と日本の支援表明
会議では「TICAD横浜宣言2025」が採択され、今後のアフリカ開発における指針が示された。石破総理からは、今後3年間で官民合わせて年平均約350億ドル規模の貢献を行うことが表明され、アフリカの持続可能な開発への強力な支援が約束された。この支援は「日本アフリカ産業共創イニシアティブ」「AI・データサイエンスの人材育成とアフリカの経済成長イニシアティブ」「インド洋・アフリカ経済圏イニシアティブ」等の具体的プログラムを通じて実施される。また、日本貿易保険（NEXI）と国際開発金融機関の連携によるファイナンス支援強化も打ち出された。
多角的な開発課題への取組み
TICAD 9では経済成長だけでなく、保健、教育、農業、気候変動対策等の幅広い開発課題について議論された。特に「人への投資」として、質の高い教育の推進、AI・データサイエンス分野での人材育成、保健システム強化等が重点分野とされた。また、食料安全保障の観点から、農業生産性向上とサプライチェーン強化への支援も表明された。気候変動対策では、南アフリカをはじめとするアフリカ諸国との脱炭素協力が進展し、クリーンエネルギー転換への支援が約束された。
日本アフリカ・スタートアップ展示会の成功
TICAD 9と並行して開催された日本アフリカ・スタートアップ展示会では、日本企業111社、アフリカ企業83社の計194社が参加し、革新的なビジネスソリューションが展示された。展示会では、農業技術、フィンテック、ヘルスケア、教育テクノロジー等の分野で日本とアフリカのスタートアップが協力機会を探り、複数のビジネスマッチングが成立した。この展示会は、TICAD 9の特徴である官民連携の具体的な成果として、アフリカにおける民間セクター主導の成長を促進する重要な機会となった。