日本企業との連携方針を表明
ナイジェリアを中心にアフリカでビジネスを展開するコングロマリットのトララムグループ(Tolaram Group、本社:シンガポール)のハレッシュ・アスワニ最高経営責任者は9月3日、ジェトロによるインタビューに対し「日本のビールブランドのアフリカ展開などを含むさまざまな連携の可能性を模索したい」とコメントし、日本企業との連携を加速させる方針を明らかにした。
ギネス・ナイジェリア買収の詳細
買収の経緯:
- 5月20日: マイノリティ株主への公開買い付けを通じて持ち株比率を70.86%まで引き上げ
- 2024年9月: 英国の酒造企業ディアジオ(Diageo)からギネス・ナイジェリアの株式58.02%を取得
買収額と契約内容:
- 総額: 約229億ナイラ(約22億円、1ナイラ=約0.096円)
- ライセンス継続: ディアジオとの長期ライセンス契約およびロイヤルティー契約により「ギネス」ブランドのライセンス供与を継続
売却背景: ディアジオは高インフレや通貨安による収益悪化を背景に資産売却を進めていた。
トララムグループの事業戦略
経営特徴: アスワニ氏は「当社はファミリービジネスとして創業した。厳格なガバナンスと効率的な事業運営、長期的な経営姿勢を特徴としており、持続的なパートナーシップ形成を進めている」と述べた。
アフリカ展開戦略:
- 食品事業で築いたアフリカ市場での基盤を活用
- ビール事業をナイジェリアからアフリカ広域に展開
- 既存製品:即席麺のインドミーやシリアルのケロッグなどをナイジェリアで製造・販売
ポートフォリオ強化: 今回の買収によりナイジェリアにおける食品・飲料事業のポートフォリオを一層強化
ナイジェリアビール市場の現状
市場規模と競合状況:
- 2025年予測: 63億9,000万ドル(米国の市場調査会社スタティスタによる)
- 市場リーダー: オランダのビール大手ハイネケン傘下のナイジェリアン・ブリュワリーズ(Nigerian Breweries)が最大手
市場環境と課題:
- 成長要因: 人口増加と都市化を背景とした中長期的な市場拡大
- 近年の課題: 高インフレと為替変動による購買力低下
- 消費者行動変化: 低価格ブランドへのシフトが進行
競争力強化の見込み: ギネス・ナイジェリアはトララムによる経営刷新により業務改善を実現しており、ブランド力と現地流通網の相乗効果を生かした競争力強化が見込まれている。
日本企業との連携機会
アスワニ氏は「ブランド力や技術力で強みを持つ日本企業とも積極的に連携したい」と述べ、特に日本のビールブランドのアフリカ展開での協力可能性に言及している。トララムグループの既存のアフリカ市場基盤と日本企業の技術・ブランド力の融合により、新たなビジネス機会の創出が期待される。