TICAD9でのアニメ・マンガパネルディスカッション開催
ジェトロは第9回アフリカ開発会議(TICAD9)のテーマ別イベント「TICAD Business EXPO & Conference(TBEC)」において、8月22日にパネルディスカッション「アフリカに浸透する日本アニメ!アフリカのオタクに聞くアニメ・マンガの魅力」を開催した。カメルーン生まれの漫画家星野ルネ氏がモデレーターを務め、エジプト、南アフリカ共和国、ナイジェリアからコンテンツクリエーターやオタクイベント創設者をパネリストとして招いた。
アフリカにおける日本アニメ文化の浸透実態
草の根レベルでの普及: 星野氏はカメルーンの小さな村で子供たちが「ドラゴンボール」の必殺技のフレーズとポーズで楽しんでいるエピソードを紹介し、日本アニメの深い浸透を示した。
グローバルな共感力: エジプトのコスプレーヤーのジヤード・エルマハラウィ氏は、特定のキャラクターを愛する人どうしが世界中で共感を得る点で、日本のアニメが持つ「繋ぐ」力を評価した。
アニメ関連ビジネスの市場ポテンシャル
ナイジェリア市場: Otaku Connectのジョージ・サディーオパラオチャ氏によると、アニメ・マンガの市場は若年層を中心に広がっており、大きなポテンシャルがある。若者は入場が有料のオタクイベントに大勢参加し、購買意欲も高い。
南アフリカ市場: コンテンツクリエーターのシャキーラ・スィットフォーレ氏は「コミュニティが既に育っている」とし、年に一度開催される「Comic Con Africa」には毎年7万人が参加、このイベントのためにお金をためているアニメファンも多いと紹介した。
正規品流通への強い需要
供給不足の現状: スィットフォーレ氏は「アフリカでは高まるニーズに対してアニメグッズやコスプレグッズの供給が限られており、日本企業の参入を期待している」と述べた。
海賊版問題: サディーオパラオチャ氏によると、ナイジェリアではアパレル、ポスター、フィギュアなどのアニメ関連製品の需要が旺盛である一方、流通している商品はほとんどが版権のない非正規の海賊版の輸入品であるため、正規品の流通経路確立が急務とした。
エジプトの状況: エルマハラウィ氏は、エジプトでも商品ラインアップがごく限られており、「ファンはどんな商品でも渇望している」と日本のアニメ関連企業の版権ビジネス進出を強く望んでいると訴えた。
ビジネスチャンスへの示唆
アフリカ市場の特徴の一つが若年層の多さであり、それを取り込む鍵の一つが日本のポップカルチャーである。パネリストたちの証言は、アフリカにおける日本アニメ・マンガ市場の成熟度と、正規品流通による大きなビジネスチャンスの存在を明確に示している。