解題：ストライキ

日本労働研究雑誌2025年5月号の「ストライキ」特集における編集委員会による解題です。戦後日本におけるストライキの歴史的変遷と現状を概観し、本特集の各論文の位置づけと意義を明らかにしています。1970年代をピークに日本のストライキ件数は大幅に減少し、現在では年間数十件程度となっていますが、その背景には労使関係の変化、雇用制度の変容、労働組合組織率の低下などがあります。本特集では、ストライキの歴史的分析から現代的課題まで、学際的アプローチで検討しており、労働法学、労働経済学、労使関係論の各分野からの知見を結集しています。特に、企業別組合が主流となった日本独特の労使関係の中でのストライキの意味変化、国際比較による日本の特殊性、現代的な労働争議の新たな形態などについて、包括的な研究視角を提供しています。