経済価値ベースのソルベンシー規制の制度概要と検討経緯
概要
金融庁は、契約者保護、保険会社のリスク管理の高度化、消費者・市場関係者等への情報提供を目的に、経済価値ベースのソルベンシー規制を「3つの柱」に基づいて整備している。第1の柱は共通基準と監督介入、第2の柱はリスク管理の高度化、第3の柱は情報開示を扱う。制度設計は有識者会議、保険会社等との対話、国内フィールドテスト、パブリックコメントを通じて進められ、法令、告示、Q&A、指針等が整理されている。
要点
- 制度は契約者保護と保険会社のリスク管理高度化を中心に設計されている。
- ソルベンシー規制、内部管理・監督上の検証、情報開示の3本柱で構成される。
- 法令等の整備は検討会議、対話、フィールドテスト、意見募集を通じて進められた。
- 第1の柱は標準モデル、検証、健全性基準、監督措置で具体化され、第2・第3の柱はリスク管理の高度化と開示に対応する。
概要
経済価値ベースのソルベンシー規制は、契約者保護を確保し、保険会社のリスク管理の高度化と消費者・市場関係者等への情報提供を図る制度として設計されている。
制度の基本構造は、ソルベンシー比率の共通基準と監督介入を定める第1の柱、第1の柱で捉えきれないリスクを捕捉し内部管理の高度化を促進する第2の柱、保険会社と外部関係者の適切な対話を促す第3の柱から成る。
金融庁は、これらの考え方に基づき、法律、府令、告示、Q&A、監督指針などを組み合わせて制度の枠組みを整備している。
主要数値
- 公表日・1柱告示、3柱告示、格付告示
- 令和8年3月23日
- 有識者会議報告書公表日
- 令和2年6月26日
- 暫定決定公表日
- 令和4年6月30日
- 最終化に向けた検討状況の基準日
- 令和5年6月30日
- 残論点の方向性公表時期
- 令和6年5月
- パブリックコメント実施期間・保険業法施行規則改正案等
- 令和6年10月31日から令和6年12月2日
- パブリックコメント実施期間・ICS採択等に伴う告示案等
- 令和7年1月31日から令和7年3月3日
- 第1の柱の法的根拠
- 保険業法第130条および第132条
- 第2の柱の法的根拠
- -
- 第3の柱の法的根拠
- 保険業法第111条
影響
契約者にとっては、契約者保護のためのバックストップとして監督介入の枠組みが定められることが、制度上の保護につながる。
保険会社には、第1の柱で共通基準と監督介入の枠組みが設けられ、第2の柱で内部管理の高度化が促進され、第3の柱で開示を通じた外部との適切な対話が促される制度環境が形成される。
消費者、市場関係者、その他の外部ステークホルダーにとっては、情報開示を通じて保険会社との適切な対話が促され、保険会社に適正な規律が働くことにつながる。
詳細
第1の柱では、ソルベンシー比率に関する一定の共通基準を設け、契約者保護のためのバックストップとして監督介入の枠組みを定める。基本的な構造はICSと共通とされ、標準モデル、検証、健全性基準、監督措置が制度要素となる。
第2の柱では、第1の柱で捉えきれないリスクを捕捉し、保険会社の内部管理を検証してその高度化を促進する。第3の柱では、保険会社と外部ステークホルダーの適切な対話を促すため、情報開示を制度化する。
主な法令等は、第1の柱について保険業法第130条・第132条、保険業法施行規則第86条・第87条・別紙様式、区分命令、1柱告示、格付告示、検証告示、3号告示、Q&A、監督指針が置かれている。第2の柱はリスク管理の高度化、第3の柱は保険業法第111条、同施行規則第59条の2、3柱告示による開示に関係する。
制度検討は、令和元年5月31日の有識者会議設置を起点に、令和2年6月の報告書、令和3年6月の検討状況、令和4年6月の基本的内容の暫定決定、令和5年6月の最終化に向けた検討状況、令和6年5月の残論点の方向性へと段階的に進められた。
パブリックコメントでは、令和6年10月31日に保険業法施行規則の一部改正案等が公表され、令和7年1月31日にはIAISにおけるICSの採択等に伴う第1の柱の告示案等が公表された。これらを用いた2025年のフィールドテストは、保険会社等を対象に実施されている。
これまでのフィールドテストについては、2024年、2023年、2022年、2021年、2020年、2019年、2018年、2016年、2014年、2010年の各年度について、実施または結果へのリンクが整理されている。加えて、イールド・カーブ作成ツール、過去のパブリックコメント、委託調査も制度の検討・運用情報として整理されている。
委託調査として、令和5年5月24日の市場への影響度調査、令和元年5月17日の諸外国における内部モデルの実態等に関する調査、平成24年7月6日の自然災害リスクに係る外部調達モデルの構造等に関する調査が掲載されている。