令和8年版国土交通白書の概要|第6章令和8年版国土交通白書:豊かな住生活と快適な交通の実現

概要

令和8年3月に、令和8年度から17年度までを計画期間とする新たな住生活基本計画(全国計画)が閣議決定された。人口・世帯数の減少、単身世帯の増加、相続住宅の大量発生、生産年齢人口の減少を見据え、「住まうヒト」「住まうモノ」「住まいを支えるプレイヤー」の3視点から11の目標を掲げる。マンションの管理・再生、住宅金融・税制、住生活リテラシーの向上を進めるほか、都市公園、歩行者・自転車優先の道路、自転車活用、総合交通戦略、公共交通の利用環境、都市鉄道やバス・タクシーの利便性を整備する。

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要点

  • 住生活基本計画は、人口・世帯構造の変化を踏まえた11目標を設定した。
  • マンションの管理・再生を新築から再生までのライフサイクルで扱う。
  • 住宅金融・税制・情報提供を通じて住まいの選択を支援する。
  • 歩行者、自転車、公共交通を軸に生活空間と移動環境を整備する。

概要

新たな住生活基本計画(全国計画)は、将来の人口・世帯数等の推計を基礎に、人口・世帯数の減少、単身世帯の増加、既成住宅地等での相続住宅の大量発生、生産年齢人口の減少を見込んでいる。計画は、住生活の変化を「住まうヒト」「住まうモノ」「住まいを支えるプレイヤー」の3視点に整理した。

「住まうヒト」では、高齢者が孤立せず希望する住生活を実現できる環境、若年世帯・子育て世帯が希望する住まいを確保できる社会、住宅確保要配慮者が安心して暮らせる居住環境・居住支援体制を扱う。「住まうモノ」では、多世代に活用される住宅ストック、市場で性能や利用価値が評価され循環する仕組み、住宅の誕生から終末までの管理・再生・活用・除却を扱う。さらに、安全な住宅地、担い手の確保・育成、住宅行政の役割と推進体制も対象とする。

計画期間は令和8年度から17年度までであり、当面10年間の施策の方向性を示す。

生活空間に関しては、都市公園等の整備状況に加え、歩行者を優先した道路空間、自転車の安全利用環境、公共交通の利便性向上に関する施策が個別に示されている。

主要数値

新たな住生活基本計画の閣議決定日
令和8年3月
住生活基本計画の計画期間
令和8年度から17年度まで
住生活基本計画の目標数
11の目標
マンション居住者の国民に占める割合
国民の1割以上
改正マンション関係法の成立日
令和7年5月
改正マンション関係法の法律番号
令和7年法律第47号
改正マンション関係法の施行時期
令和8年4月
都市公園等の整備箇所数
115,917か所
都市公園等の整備面積
約131,243ha
1人当たり都市公園等面積
約11.0m2

影響

人口・世帯構造が変化する中で、高齢者や若年世帯・子育て世帯については希望する住生活・住まいの確保を、住宅確保要配慮者については安心して暮らせる居住環境・居住支援体制を政策課題として捉える枠組みが示された。

マンションでは、建物と区分所有者の「2つの老い」が進行し、外壁等の剝落の危険や集会決議の困難化が課題となっている。老朽化マンションと区分所有者の高齢化が進むことで、これらの課題は今後さらに深刻化すると見込まれている。

歩行者、自転車、公共交通の利用環境を整える取組は、安全性、移動のしやすさ、地域の賑わい、環境負荷、健康、観光地域づくりに関係する。公共交通では、高齢者、障害者、大きな荷物を持つ外国人旅行者を含む利用者への対応が進められている。

都市・地域総合交通戦略は、輸送モード別・事業者別ではなく利用者の立場から交通とまちづくりを捉える仕組みであり、地域の将来像、交通サービス、施策、実施プログラムを関係者間で共有する基盤となる。

白書は、住宅の安定確保、住宅ストックの管理・再生、歩行者・自転車中心の空間、公共交通の改善を、国土交通分野における心地よい生活空間の主要な取組として位置付けている。

詳細

令和7年5月成立の改正マンション関係法は、マンションの新築から再生までのライフサイクル全体を見通し、管理や再生の円滑化を図る。新築時から管理計画に基づく適正管理を可能にし、建物・敷地の一括売却や建物更新等を、建替えと同様に多数決決議で行えるようにするほか、区分所有者等からの相談対応や合意形成を支援する民間団体の登録制度を創設する。

令和8年4月の施行に向け、マンション標準管理規約と基本方針の改正、地方公共団体向けガイドラインの整備を行い、全47都道府県で全国説明会を開催するなど、制度内容の周知・広報に取り組んでいる。施行後は、良好な居住環境の確保や老朽化マンションの損壊等からの生命・財産の保護に向け、管理・再生の取組を促進する。

住宅金融支援機構は、耐久性等の技術基準と物件検査により住宅の質を確保し、耐震性、省エネルギー性、バリアフリー性、耐久性・可変性の4性能のいずれかが一定基準を満たす住宅を対象に、【フラット35】Sで融資金利を引き下げている。こどもの人数等に応じる【フラット35】子育てプラス、高齢者向けのリ・バース60も実施・支援している。

令和8年度税制改正では、住宅ローン控除の適用期限を5年間延長し、省エネ性能等の高い既存住宅について借入限度額や控除期間を拡充する。40㎡台の既存住宅を新たに支援対象とし、令和10年以降は一定のハザードエリア内の新築住宅を適用対象外とする立地要件を追加する。その他、期限を迎える特例措置の延長や床面積要件の緩和に加え、一部の税制について立地要件の追加も行う。

官民連携の住生活リテラシー・プラットフォームの取組として、令和7年に「いま身につけよう住まいの判断力 住まリテ」ウェブサイトを公開し、各ライフステージに応じた住まい方を選ぶための情報を提供している。

令和6年度末の都市公園等整備状況は115,917か所、約131,243haで、1人当たり都市公園等面積は約11.0m2である。道路では、幹線道路等で自動車交通を生活道路から転換し、生活道路で速度抑制や通過交通の進入抑制を図る面的対策を進めている。

自転車対歩行者の交通事故件数の増加傾向や電動キックボード等の普及を踏まえ、警察庁と共同でガイドラインに基づく通行空間の整備と交通ルールの啓発を進めている。ほこみち制度の占用特例、地図標識による乗換え・まち歩き支援、市町村やNPO等を対象とする道路占用・管理の特例も活用している。

自転車活用では、歩行者・自転車・自動車を分離した通行空間や駐輪場、シェアサイクル、地域公共交通との連携を整備する。国は事業者等への自転車通勤導入を促し、「自転車通勤推進企業」宣言プロジェクトで積極的に取り組む事業者等を認定している。観光では、サイクリング環境、ナショナルサイクルルート、サイクルトレイン・サイクルバスの導入を進める。

自転車については、警察との通行ルール周知や交通安全啓発、自転車損害賠償責任保険等への加入を義務付ける条例の制定促進、災害時の移動・輸送手段としての活用を進めている。

都市・地域総合交通戦略は令和8年3月現在、129都市で策定または策定中である。国は同戦略に基づくLRT等の整備を支援している。

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