米の価格高騰を検証し、安定供給へ制度・生産政策を再構築|第6章人口減少下の農村振興と多様な人材・地域資源の活用

概要

第6章は、人口減少と高齢化が進む農村で、関係人口の創出、移住・定住、所得・雇用の確保、生活インフラと共同活動の維持、中山間地域の農業、鳥獣被害対策、都市農業や農村の魅力発信を進める取組を整理している。農村では高齢化率が都市部より先行し、山間農業地域の人口は2050年までに2020年比で5割以上減少すると見込まれる。一方、農泊、農福連携、半農半X、地域おこし協力隊、農村RMO、ジビエ、棚田・農業遺産などを通じ、多様な主体が地域の経済、生活、農業生産、文化を支える仕組みが広がっている。政府は、交流や二地域居住、官民共創、生活交通、通信環境、施設の再編・強靱化、共同活動の広域化などを組み合わせ、地域ごとの課題に対応する方針を示している。

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要点

  • 農村振興では、関係人口の創出から移住・就農まで多様な関わり方を用意する。
  • 農泊、農福連携、複合経営、ジビエなどが所得・雇用と地域資源の活用を結び付ける。
  • 農村RMOや活動組織の広域化により、生活支援と農地・インフラ保全を補完する。
  • 中山間地域、鳥獣被害、都市農業を含め、地域特性に応じた施策を組み合わせる。

概要

農村では人口減少と高齢化が並行して進み、2020年の高齢化率は35.0%で、都市部より25年程度先行している。山間農業地域の人口は、2020年から2050年にかけて5割以上減少すると見込まれる。過疎地域では2009年度を境に、高齢化による自然減が人口流出による社会減を上回った。

農村の産業別就業者数は、2020年に製造業が348万人で最多となり、農業・林業は156万人、全体の8.6%だった。農村の維持には、一次産業だけでなく製造業、医療・福祉などの雇用と起業を含む産業基盤が必要とされている。

特定地域と継続的・多様に関わる関係人口は、2023年9〜10月の調査で18歳以上の22.0%と推計された。農泊や農業体験、ボランティア、二地域居住、ワーケーション、就農など、関心・関与の度合いに応じた複線型の接点が示されている。

農村振興は、交流・移住による人材確保、地域資源を使った所得・雇用創出、生活サービスと共同活動の維持、中山間地域の生産継続、鳥獣被害の抑制、都市住民との接点づくりを一体的に進める構成になっている。

主要数値

農村の高齢化率(2020年)
35.0%
山間農業地域の人口見込み(2020年から2050年)
5割以上減少
関係人口の割合(2023年9〜10月調査、18歳以上)
22.0%
ふるさと住民登録制度のシステム・アプリ開発期限
2026年度中
農泊地域の延べ宿泊者数(2024年度)
867.6万人泊
農泊地域の延べ宿泊者数目標(2029年度)
1,200万人泊
農福連携等の取組主体数目標(2030年度末)
1万2千以上
農福連携等の取組主体数(2024年度)
8,277主体
地域おこし協力隊の隊員数(2024年度)
7,910人
鳥獣による農作物被害額(2024年度)
188億円

影響

住民にとっては、二地域居住、農泊、体験農園、地域おこし協力隊、半農半Xなど、農村に段階的に関わり、移住・定住や就農につなげる選択肢が広がる。農福連携は障害者等の社会参画と自立を支え、対象は高齢者、生活困窮者、ひきこもり状態の者、犯罪をした者等にも広がっている。

企業や地域金融機関には、農山漁村の課題解決への参画機会と、取組の社会的・環境的効果を示す枠組みが提供される。地域では、観光、加工・販売、福祉、林業・畜産、ジビエなどの連携が、所得、雇用、交流、文化継承の基盤となる。

自治体には、人口減少と職員減少の中で、複数集落を束ねる組織、官民の支援チーム、広域的な保全体制を整え、交通・教育・医療・福祉・通信・排水・農道を地域の実情に合わせて維持する役割が求められる。

詳細

二地域居住では、2024年11月改正後の広域的地域活性化法に基づく計画により、住宅、コワーキングスペース、交流施設の整備を支援しやすくした。2025年度には19府県が計画を作成した。2025年5月の「地方みらい共創戦略」では主要7分野の付加価値創出を掲げ、2025年7月に福井県農林水産地方創生センターが全国第1号として設立された。

農山漁村経済・生活環境創生プロジェクトは2025年2月に開始され、2026年3月末時点で約650企業等が参画した。プラットフォーム、案件形成、インパクト可視化、大企業の取組、国による証明制度を柱とし、2025年度には10金融機関と連携し、11社の取組を選定した。2025年10月には取組証明書制度を開始した。

農泊は地域資源を使う宿泊・体験型旅行で、2024年度の延べ宿泊者数は867.6万人泊、インバウンドは74.8万人泊だった。2029年度の目標は1,200万人泊で、重点地域40地域を対象に海外向け発信と受入環境整備を進める。

農福連携等では、2030年度末までに取組主体1万2千以上、地域協議会に参加する市町村200以上を目標とする。2024年度の主体数は8,277、参加市町村数は144だった。特定地域づくり事業協同組合は2026年3月末に136組合、地域おこし協力隊は2024年度に7,910人で、直近5年に任期を終えた隊員の69%が活動地と同じ地域に定住した。

生活面では、2025年2〜3月調査で交通空白地区が2,057地区、717地方公共団体に及び、居住人口の12.5%に当たる。農業集落排水施設は2026年3月末に87%が標準耐用年数20年を経過し、農道総延長は2025年8月時点で16万9,493kmだった。

農村RMOは農用地保全、地域資源活用、生活支援を複数集落で担う。地域運営組織は2025年度に8,587団体あるが、農地の利活用を行う割合は9.8%、農業を行う割合は4.8%だった。多面的機能支払制度の認定農用地面積は2024年度に233万ha、カバー率56.8%、活動組織数2万5,283組織だった。

中山間地域は人口の10.6%、総土地面積の63.8%を占め、農業産出額は全国の40.0%に当たる。中山間地域等直接支払制度は2024年度に2万4,446協定、66万1千ha、参加者50万2千人で、第6期対策では約8.4万haの減少防止を目標とする。山村振興法は2025年3月に改正され、期限が10年間延長された。

鳥獣対策では、2024年度の農作物被害額が188億円で、シカ79億円、イノシシ45億円、鳥類31億円だった。捕獲頭数はイノシシ64万3千頭、シカ73万9千頭。シカ・イノシシの生息頭数を2011年度比で2028年度までに半減させる目標を掲げ、2025年4月末には被害防止計画作成市町村1,525、実施隊設置市町村1,266、隊員4万3千人となった。

ジビエ利用量は2024年度に2,678tで、ペットフード向けは830tだった。ジビエハンター育成研修は2025年度までに33回、1,028人が受講し、国産ジビエ認証施設は2026年3月末に33施設となった。都市農業では、2025年11月調査で64.3%が都市農地を保全すべきと回答し、市民農園は2025年3月末に4,273農園、指定棚田地域は2025年度までに749地域となった。

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