労働政策研究・研修機構（JILPT）が海外労働情報として、フランスにおける労働時間短縮制度の見直しについて報告したものです。
フランス政府は、現行の35時間労働制を基調としつつ、経済競争力の向上と労働者のワークライフバランスの改善を両立させるため、労働時間制度の柔軟性向上を図る改革を検討しています。改革案では、業種や企業規模に応じた労働時間管理の多様化、労使合意による労働時間調整の拡大、テレワークやフレックスタイム制度の活用促進などが主要な内容となっています。
具体的な見直し内容として、年間労働時間の上限内での週単位・月単位での時間調整の柔軟化、繁忙期・閑散期に応じた労働時間配分の最適化、デジタル技術を活用した労働時間管理システムの導入促進などが検討されています。また、労働者の健康保護と労働の質の維持を前提とした制度設計が重視されています。
この改革は、グローバル経済における競争力強化と、働き方の多様化に対応した労働環境の整備を目的としており、従来の労働時間規制の枠組みを維持しながら、実務面での柔軟性を高めることを目指しています。
記事は、フランスが伝統的な労働時間短縮政策を堅持しつつ、現代の労働市場の要請に応じた制度の柔軟化を通じて、労働者の福祉向上と経済効率性の両立を図ろうとしていることを示しています。