労働政策研究・研修機構(JILPT)が海外労働情報として、韓国における最低賃金制度改革案について報告したものです。
韓国政府は、地域間の経済格差と生活費格差を考慮した最低賃金制度の改革を検討しており、現行の全国一律制度から地域別最低賃金制度への移行を含む包括的な見直しが進められています。改革案では、首都圏と地方の経済実情の差異を反映した賃金水準の設定、中小企業への負担軽減措置、労働者の生活水準維持のためのセーフティネット強化などが主要な検討項目となっています。
具体的には、地域の物価水準、企業の支払能力、雇用への影響などを総合的に考慮した地域別最低賃金の算定方式の導入、段階的移行のためのロードマップ策定、影響を受ける労働者への支援制度の整備などが検討されています。また、制度変更に伴う労使間の合意形成プロセスの重要性も強調されています。
この改革は、韓国の地域均衡発展政策の一環として位置づけられており、全国的な経済成長と地域格差の縮小を両立させることを目指しています。一方で、労働市場への影響や制度の複雑化などの課題についても慎重な検討が求められています。
記事は、韓国が経済発展の成果を全国に均等に波及させるため、最低賃金制度の地域特性を考慮した改革を通じて、労働者の生活向上と地域経済の活性化を同時に達成しようとしていることを示しています。