欲しい商品をカタログから選ぶだけ！前例のない補助金で中小企業の活力を引き出す

中小企業庁経営支援部技術・経営革新室の金光百菜氏による「省力化投資補助金」の解説記事。中小企業庁は日本の事業者の99.7%を占める約330万社の中小企業を支援するミッションを持ち、その中でも技術・経営革新室は中小企業のイノベーションを促進する各種補助金の制度設計を担当している。

省力化投資補助金は令和5年度から開始された人手不足解消に効果のある投資を支援する補助金で、レジや券売機、自動補充ロボットなどの導入を支援している。特徴的なのは「カタログ注文型」を採用している点で、事業者は申請書を作成する代わりに、カタログに掲載された商品から導入したいものを選択するだけで簡単に申請できる前例のない仕組みとなっている。また「一般型」では個別の現場や事業内容に合わせた設備導入・システム構築に利用可能である。

制度設計においては前例がないため、現場の声を聞きながら改善を重ねることに重点を置いており、この1年間で数十回の制度改定を実施した。報告期間の5年から3年への短縮、随時受付型への変更、カタログ掲載要件の緩和など、利用者の負担軽減を図っている。金光氏は地方の商工会・商工会議所を訪問し、現場での受け止められ方を直接確認し、出てきた意見を一つずつ抽出して改善に反映させる作業を継続している。

現場での印象深い体験として、東北地方の飲食店経営者が地元商工会の支援により補助金を活用できたエピソードを紹介し、担当者が現場に来て直接説明することの重要性を強調している。中小企業に対しては、人手不足に対して投資で解決するという考え方自体がまだ浸透していない現状があり、自動化・効率化によってより良くできる部分があることを理解してもらいたいと述べている。政策によって日本の未来を変えうる責任と面白さを感じながら、現場の声を政策に反映して世の中を変えられることに大きな魅力を見出している。