ミプロ対日投資アドバイザーによる「日本にある世界の機関を知る」シリーズ第8回として、欧州ビジネス協会(EBC)の組織概要と活動内容について詳細に解説したものです。
欧州ビジネス協会は1983年に設立された、16カ国からなる欧州の商工会議所及び経済団体の貿易政策機関で、その起源は1972年の欧州商工会議所合同運営委員会まで遡ります。在日欧州企業約200社の声を代表し、日本における欧州企業のビジネス環境改善と貿易・投資促進を主目的として活動しています。組織運営は駐日EU代表部及び加盟16カ国の大使館と密接に連携し、日本政府や経済団体との政策対話の重要な窓口機能を担っています。
主要活動として、自動車、医療機器、労務、税制、デジタル分野など8つの産業別委員会を運営し、各分野の専門的課題について継続的な提言活動を展開しています。年次白書の発行を通じて日本政府への政策提言を体系化し、規制改革や市場開放に向けた具体的な改善要求を行っています。また日本の政府機関、経済産業省、外務省、財務省等との定期的な意見交換会を開催し、欧州企業の立場からの政策提言を積極的に行っています。
対日投資に関しては、貿易と投資を一体的に捉えた戦略的アプローチを採用し、日本市場の安定性と高品質な消費者層を高く評価している一方、労働力不足を最大の課題として認識しています。特にマネジメントレベルで英語が堪能な技術者や専門家の不足が深刻で、これが欧州企業の日本進出における最大の障壁となっています。この課題解決のため、地方自治体との積極的な交流を通じて、地方部での人材確保や欧州企業の地方投資促進にも取り組んでいます。
記事は、EBCが単なる業界団体を超えて、日欧経済関係の発展における重要な架け橋として機能していると結論づけています。