金融庁が2025年7月25日にNGFS(気候変動リスク等に係る金融当局ネットワーク)による「適応とレジリエンスの移行計画への統合」の公表について報告している。
NGFSは、気候変動に伴う物理的リスクへの適応(アダプテーション)とレジリエンス(回復力)強化を、金融機関の移行計画に統合することの重要性を示したガイドラインを公表した。従来の緩和(ミティゲーション)中心の対策に加え、適応策の重要性が強調されている。
物理的リスクへの対応では、極端気象事象の頻発化、海面上昇、気温上昇などが金融システムに与える影響を適切に評価し、必要な適応策を講じることが求められている。特に、長期的な視点での計画策定が重要とされている。
金融機関に対しては、気候関連の物理的リスクの特定・評価、適応策の策定・実施、レジリエンス強化のための投資促進などが期待されている。また、顧客企業の適応計画支援も重要な役割とされている。
具体的な取り組みとして、気候シナリオ分析の高度化、地域特性を考慮したリスク評価、早期警戒システムの活用、インフラ投資への資金供給などが挙げられている。
国際協力の観点では、新興国・途上国の適応策支援、技術移転の促進、グリーンファイナンスの拡充などが重要とされている。特に、アジア・太平洋地域では気候変動の影響が深刻なため、地域協力の強化が不可欠である。
日本の金融機関にとっても、気候変動適応を事業戦略に組み込み、持続可能な金融サービスの提供を通じて社会全体のレジリエンス向上に貢献することが期待されている。