公認会計士・監査審査会が令和7年7月18日に公表した「令和7年版モニタリングレポート」について、その目的と主要な内容を解説したものです。
本レポートは、監査及び会計の専門家はもとより市場関係者、学生、社会人など一般の方々をも読者として想定し、審査会が実施するモニタリング活動の状況と成果を中心に、できるだけ分かりやすい形で情報提供する観点から年次で作成・公表されているものです。令和6年版から、データのリニューアルや新規項目の追加等が行われました。
監査業界の概観として、監査業務収入の約78%が大手監査法人（4法人）に集中している現状が示されています。しかし近年においては、監査証明業務数、監査業務収入等における大手監査法人の割合は減少傾向にあり、上場国内会社の会計監査人においても、令和6年度では大手が58.1%、準大手が16.0%、中小が25.9%となっています。この寡占傾向は米国（99%）や英国（89%）でも同様に見られます。
品質管理システムについては、令和3年11月に改訂された「監査に関する品質管理基準」への対応状況が詳述されています。改訂基準では、従来の一定の品質管理方針・手続の整備から、監査事務所自らが品質目標を設定し、品質リスクを識別・評価し、対処するリスク・アプローチに基づく品質管理システムが導入されました。大手・準大手監査法人は既に適用済みで、中小規模監査事務所も令和6年7月1日以降の適用に向けて体制整備を進めています。
監査事務所の運営状況では、監査業務の定期的な検証、グローバルレビューの活用状況、監査意見表明前のモニタリングなどの品質管理施策が紹介されています。また、会計監査人の異動状況について、令和7年6月期は205件で、大手監査法人から準大手監査法人以下への異動が増加に転じたことが報告されています。
記事は、監査をめぐる環境変化への対応として、中小規模監査事務所の役割の高まりやサステナビリティ開示・保証の動向など、最新の制度改正等の動向についても言及しています。