ジェトロが発表したマレーシアの2025年版貿易投資年報について、経済成長の加速と投資環境の改善に関する最新動向を詳述したものです。
マレーシア経済は2024年に顕著な回復を見せ、GDP成長率は5.1%と前年の3.6%から大幅に上昇しました。インフレ率は1.8%と低水準を維持し、失業率も3.3%と安定しています。総貿易額は2.87兆リンギットと過去最高を記録し、前年比9.2%増加しました。輸出は1.51兆リンギット（前年比5.7%増）、輸入は1.37兆リンギット（同13.2%増）となっています。
輸出の主力は電気・電子製品で、輸出全体の39.9%を占めています。パーム油製品も重要な輸出品目として位置づけられています。外国直接投資は515億リンギットと前年比33.4%の大幅増加を記録し、特にサービス部門が全体の76.4%を占めました。情報通信分野への投資は50.8%増と急速に拡大しています。主要投資国はシンガポール、香港、米国となっています。
政府は国家半導体戦略を発表し、高付加価値産業への移行を推進しています。データセンターへの投資ブームが継続し、デジタル経済の基盤強化が進んでいます。EUとの貿易交渉が再開され、貿易相手国の多様化に向けた取り組みも進展しています。一方で、運営コストの上昇、賃金の増加、競争的なビジネス環境への対応が今後の課題として指摘されています。
記事は、マレーシアが半導体やデジタル分野を中心とした高付加価値産業への転換を図りながら、ASEAN地域のハブとしての地位を強化し、持続的な経済成長を実現する可能性が高いと結論づけています。