第6回労働基準法における「労働者」に関する研究会 議事録
概要
厚生労働省の第6回研究会では、プラットフォームワーカーの働き方に関する調査結果を、昭和60年報告の判断要素に沿って整理した資料を基に議論した。アルゴリズム、GPS、インセンティブ、ペナルティー、契約形態、代替性などが労働者性判断にどう関わるか、また事業者中心の調査であることや、三者間関係・使用者性を含む限界を確認した。続いて、労働基準法上の「労働者」に関するこれまでの議論の整理案と今後の研究方針を検討し、昭和60年報告の見直し、予見可能性、近時の裁判例、契約書・約款の扱いなどを今後の論点とした。
要点
- プラットフォームワーカーの働き方は、業界や事業者によって多様である。
- アルゴリズムによる監視・誘導やインセンティブ、ペナルティーを労働者性判断でどう評価するかが論点となった。
- 調査はプラットフォーム事業者・業界団体からの回答が大半で、ワーカー側の回答は限られていた。
- 昭和60年報告の判断基準や予見可能性が今後の中心的課題として示され、近時の裁判例、契約書・約款の扱いについて意見が出された。
概要
研究会では、厚生労働省の委託により前年度に実施され、今年3月に報告書が公表されたプラットフォームワーカー調査を基に、事務局が資料を作成した。資料は、回答のうち議論に資すると考えられる内容を、昭和60年報告の判断要素に沿って便宜的に整理したものである。
議論では、プラットフォームワーカーを一つの類型として一律に捉えることの難しさが確認された。事業者・ワーカー・クライアントの三者関係、基本契約と個別契約、名目上の契約形態と実際の働き方を区別し、個別の事情を全体として評価する必要性が指摘された。
労働者性に関する議論の整理案では、昭和60年1月1日から令和6年12月31日までに判決が下された裁判例などを抽出・分析した位置づけが説明された。
影響
調査結果は、プラットフォームワーカーを含む新たな働き方の課題を把握・分析し、労働者性の判断基準の在り方を検討する際の資料として、今後の研究会の議論に活用されることが想定されている。
昭和60年報告の基準を見直す場合には、その内容が当事者の行動に及ぼす影響も検討すべきだとの意見が示された。
詳細
調査資料は、仕事の依頼に対する諾否の自由、業務遂行上の指揮監督、就業場所・時間の拘束、代替性、報酬の労務対償性、事業者性、専属性などの項目に沿って整理された。事業者からの受諾強制や不受諾への実質的不利益を示す回答は見られない一方、指示、研修、定期報告、常駐要求、代替要員への通知・合意要求など、異なる実態が示された。
フードデリバリーや軽貨物等輸送・配送では、AI・アルゴリズムによる参照ルートの提示やGPS等の位置情報の取得・利用が行われていた。報酬は稼働時間、距離など複数の要素で算出され、評価や需要に応じたインセンティブ、低評価・キャンセル・規約違反などに対する注意勧告、申込み制限、アカウント停止などのペナルティーも報告された。
構成員は、アルゴリズムによる情報収集・処理・誘導、評価と仕事の配分、契約形態、直接契約の禁止、基本契約と個別契約、クライアントの関与を、従来の判断要素に個別に当てはめるだけでなく総合的に検討すべきだと意見を述べた。事務局は、調査対象を市場占有率やワーカー稼働数などを考慮して抽出し、現状を一定程度把握できたと説明した。
資料2については、これまでの議論と裁判例分析を整理した土台であり、特定の論点を結論づけるものではないと確認された。近時の裁判例、契約書・約款の位置づけ、労働基準法上の保護の趣旨との関係などについて構成員から意見や提案が出され、座長は必要に応じて追記・修正し、次回以降に個別の論点を議論すると述べた。