飲食料品の消費税率1%引下げと所得連動給付の政府方針
概要
高市総理は、物価高や税・社会保険料負担に苦しむ中所得・低所得層への対策として、令和9年4月から2年間、飲食料品の消費税率を8%から1%へ引き下げ、その後、令和11年4月から所得に連動したきめ細かな給付を本格導入すると説明した。給付は令和9年6月以降、消費税率1%の範囲内で先行導入する。政府・与党は令和8年8月上旬までに方針を決定し、9月に大綱を決定、臨時国会への法案提出を目指す。財源は特例公債に頼らず、歳出・歳入改革、税外収入、租税特別措置や補助金の見直しなどで確保するとしている。
要点
- 飲食料品の消費税率を令和9年4月から2年間、1%へ引き下げる方針。
- 令和11年4月から所得連動給付を本格導入し、消費税率を8%へ戻す。
- 所得連動給付は公的機関の所得情報を使い、令和9年6月以降に先行導入する。
- 財源は特例公債に頼らず、予算編成改革を通じて確保する。
概要
高市総理は、負担から給付を差し引いた純負担率が諸外国に比べて高いことを背景に、物価高と税・社会保険料負担に苦しむ中所得・低所得層の負担軽減を現下の最重要課題と位置づけた。
政策の中心には給付付き税額控除を据え、飲食料品の消費税率引下げは本格制度へ移行するまでのつなぎとする。所得連動給付は一律給付ではなく、税・社会保険料負担と現金給付を総合的に捉え、所得などに応じて支援額を調整する制度として構想されている。
政府・与党は令和8年8月上旬までに、消費税率引下げとつなぎ給付を含む方針を決定し、令和8年9月に大綱を決定した上で、臨時国会への法案提出と早期成立を目指す。
総理は、消費税率の引下げから所得連動給付への移行によって、広く早い負担軽減と、真に支援が必要な層への重点支援を組み合わせる考えを示した。
主要数値
- つなぎ期間の飲食料品消費税率
- 1%
- 飲食料品消費税率の引下げ開始
- 令和9年4月
- 1%税率の適用期間
- 2年間
- 所得連動給付の先行導入
- 令和9年6月以降
- 所得連動給付の本格導入と税率復帰
- 令和11年4月
- 復帰する飲食料品消費税率
- 8%
- 本年度の税外収入
- 9.0兆円程度
- 飲食料品の消費税率引下げに伴う地方関連財源
- 約1.6兆円
- 住民税基礎控除額を50万円へ引き上げる場合の財源
- 約3兆円
影響
中所得・低所得の現役勤労者には、消費税率引下げによる広範な効果に加え、所得に応じた給付が行われることで、手取りの増加と税・社会保険料負担の軽減が期待される。給付は年収の壁による働き控えを緩和し、就労促進にもつなげる狙いがある。
飲食料品を扱う事業者には税率変更へのシステム改修が必要となる一方、1%への引下げは0%とする場合より改修期間を短縮できると説明された。農業従事者など仕入税額控除の還付を受けられない事業者や、外食産業には追加の支援策が検討される。
消費税率を8%へ戻す際の負担増について、政府は、給付対象となる中所得・低所得の現役勤労者の大半が、税率引下げの効果を上回る支援を受けると説明した。対象外となる勤労意欲のある低所得者や就労していない高齢者についても、既存の社会保障制度を含めて取り残されない対応を検討する。
地方財政には、住民税減税を恒久化する場合より、飲食料品の消費税率引下げの方が影響が小さいとされる。政府は、消費税を社会保障財源として維持し、市場の信認と財政の持続可能性を確保するため、2年後の税率復帰を重視している。
詳細
制度は三段階で進める。第一に、令和9年4月から飲食料品の消費税率を全所得階層に適用される形で1%へ下げ、2年間先行させる。第二に、令和9年6月以降、公的機関が保有する所得情報などを活用して、所得連動給付を先行導入する。第三に、令和11年4月から給付を本格導入し、同時に飲食料品の税率を元の8%へ戻す。
本格制度では、高所得の配偶者の所得や、子育て世帯に関係する16歳から18歳の被扶養者情報も把握し、世帯状況を踏まえた公平な給付を目指す。従来の給付は制度やインフラが整わない中で個別に実施され、自治体の準備負担や支給までの時間が課題となっていた。
財源は、税収動向を見極めながら歳出・歳入を見直し、債務残高対GDP比を安定的に引き下げる中で可能な財政規模と通年の国債発行額を精査する。租税特別措置・補助金を見直し、特別会計や基金からの歳入確保もゼロベースで進める。本年度は外為特会や独立行政法人などからの納付金を含む税外収入が9.0兆円程度で、記者からは食料品減税に年5兆円規模の財源が必要との指摘も出た。
予算編成改革では補正予算への依存から脱却し、補正予算を真に緊要性の高い施策に限定する。既存の物価高対策予算は、所得連動給付やつなぎが物価高対策の役割を持つことを踏まえて内容を見直し、当初予算と補正予算を通じた通年の国債発行額を管理する。
農業従事者などへの対応は、仕入税額控除の還付を受けられない影響を見極め、過去の支援策も参考に予算編成過程で具体化する。外食産業には資金繰りなどを含む予算措置を検討する。
所得連動給付の対象外となる勤労意欲のある低所得者については、本格導入までに必要な対応を検討し、可能なものは令和11年度から実施できるよう結論を得る。就労していない高齢者については、年金制度など既存制度との関係を整理し、次期年金法改正が予定される令和12年までに対応の結論を得る。
住民税の基礎控除額を50万円へ引き上げる案については、飲食料品の消費税率引下げに伴う地方関連分の約1.6兆円に対し、約3兆円の財源が必要となり、恒久化すれば地方財政への影響も恒久的になると説明された。
政府は、給付と税額控除を組み合わせる給付付き税額控除の理想形・最終形を含む制度の将来像を継続検討する。また、将来の感染症や大災害に備え、税率変更に柔軟に対応できるシステムの普及促進を新たな挑戦として進める。
法案には景気状況に応じて減税を継続する景気条項を盛り込む必要はないとの考えが示された。所得連動給付については、法律で措置することを検討している。
政府は、消費税減税の方が過去の定額給付よりも、物価高に直面する人々が早期に効果を実感しやすいと説明した。一方、昨年末の補正予算で決まった子ども1人当たり2万円の物価高対応子育て応援手当について、市区町村によっては支給開始が令和8年7月末までずれ込む見込みとされた。