令和8年版国土交通白書 第5章「競争力のある経済社会の構築」
概要
令和8年版国土交通白書第5章は「競争力のある経済社会の構築」を掲げ、「交通ネットワークの整備」「総合的・一体的な物流施策の推進」「産業の活性化」の3節で構成する。道路・鉄道・航空ネットワーク、物流機能の維持と持続的成長、鉄道・運送・海事・航空・不動産・建設などの産業施策を記載する。幹線道路や新幹線が地域経済、医療アクセス、災害時の迂回、移動時間短縮に与える効果を示し、物流では2024年問題への対応と2030年度までの集中改革、産業では担い手確保、生産性向上、取引環境の改善などを扱う。
要点
- ETC2.0のデータを使ったピンポイント渋滞対策は、14か所で運用を開始し、13か所で実施中である。
- 新幹線は地域間の移動時間を大幅に短縮し、地域社会の振興や経済活性化に大きな効果をもたらすと記す。
- 物流革新の集中改革期間を令和12年度までとし、新モーダルシフトや物流標準化、DX・GXなどを推進する。
- 造船業再生基金は、今後10年で総計3,500億円規模の支援実施を目指す。
概要
対象は「国土交通白書 2026」第5章「競争力のある経済社会の構築」。節見出しは、第1節「交通ネットワークの整備」、第2節「総合的・一体的な物流施策の推進」、第3節「産業の活性化」である。
第1節は幹線道路・鉄道・航空網と空港アクセス、第2節は物流の課題と施策を扱う。第3節は鉄道、自動車運送、海事、航空、貨物利用運送、物流拠点、不動産、公共工事、建設産業の動向と施策を取り上げる。
影響
白書は、幹線道路整備が地域経済の活性化に寄与し、地方部で広域医療サービスを受けることや、災害時に幹線道路が途絶した場合の広域迂回ルート確保を可能にすると述べる。新幹線は地域間の移動時間を大幅に短縮し、地域社会の振興や経済活性化に大きな効果をもたらすとしている。
詳細
道路は未接続地域を含め計画的に幹線網を整備し、「WISENET2050・政策集」の下でネットワーク機能を高める。ETC2.0は全国約1,800か所の路側機と車両が双方向通信し、料金施策や渋滞対策に使われる。首都圏・近畿圏・中京圏では環状道路への転換や都心流入分散を促す料金を導入。速度・加減速データで渋滞箇所を特定し、既存道路幅員内の付加車線設置などを行う。
整備中の新幹線区間は北海道(新函館北斗・札幌)、北陸(敦賀・新大阪)、九州(新鳥栖・武雄温泉)。北海道新幹線は事業費が最大1.2兆円増加するおそれの報告を受け、精査を続ける。青函トンネルでは貨物列車の少ない特定時期に時間帯を分け、新幹線を時速260kmで走行させる。整備新幹線の貸付料は開業後30年間の扱いを含め検討し、基本計画路線は全国11路線。リニア中央新幹線は品川・名古屋間の工事と関係者協議を進める。
首都圏空港は羽田・成田合計で年間約100万回の発着容量を目指す。羽田の新飛行経路で国際線容量を年間約4万回拡大し、成田は年間50万回を目指す。関西国際空港は年間30万回、中部国際空港は完全24時間運用等を目的に代替滑走路整備を進める。地方空港の施設・アクセス、空港運営改革、操縦士等の養成、航空交通システム高度化も記載する。
「2024年問題」への対応として、政府は令和12年度までを物流革新の集中改革期間とし、2026年度から2030年度の総合物流施策大綱を策定した。大綱は物流効率化、商慣行見直しと行動変容、人材の地位・能力向上と労働環境改善、標準化・DX・GX、サプライチェーン強靱化を柱とする。新モーダルシフト、結節点整備、受取方法の多様化、共同配送、ドローン、自動物流道路、物流データ標準化等を進める。
産業施策は鉄道、自動車運送、海事、航空、貨物利用運送、物流拠点、不動産、公共工事、建設産業に及ぶ。取引・運賃環境の適正化、運転者・船員等の確保育成、外国人材の受入れ、生産性向上を進める。造船業再生基金は今後10年で総計3,500億円規模の支援を目指す。公共工事では適正な予定価格・工期、施工時期の平準化、ダンピング対策、設計変更を扱い、建設業では処遇改善、働き方改革、DXを進める。