循環経済行動計画に基づく今後の我が国の循環経済ビジョン|第12章生物多様性の保全と持続可能な利用に向けた取組
概要
政府は、生物多様性の保全と持続可能な利用に向け、多様な主体の連携、ネイチャーポジティブ経済、自然とのふれあい、生態系ネットワークの形成、重要地域の保全、自然再生、30by30目標、野生生物・外来種対策、持続可能な食料システム、国際協力、自然環境データの整備を総合的に進める。国立公園では全35公園を対象に受入環境やツアー、人材育成、利用者負担、企業連携を進め、2031年までに全国で民間活用による魅力向上を図る。30by30目標では、2025年8月時点の保護地域に加え、地域生物多様性増進法に基づき認定された自然共生サイトのうち、豊かな生物多様性を維持する活動が行われ、既存保護地域との重複を除いた区域をOECM国際データベースに登録し、2026年度に中間評価を行う。絶滅危惧種、鳥獣被害、外来種、食料・農林水産業、海洋、国際条約、南極環境など幅広い分野で制度運用、指定、調査、支援、国際連携を実施する。
要点
- 多様な主体の連携を通じて、生物多様性保全を社会全体の取組として進める。
- 30by30目標に向け、保護地域の拡張とOECMの設定・管理を進める。
- 国立公園の保護と利用を両立させ、地域活性化につなげる。
- 野生生物、外来種、食料システム、国際協力を含む施策を広く展開する。
概要
取組の基本方針は、生物多様性の保全と持続可能な利用を、多様な主体の参画、地域戦略、企業活動、自然体験、国土管理、産業活動、国際協力、データ基盤の整備によって一体的に進めることである。
企業分野では、2024年のネイチャーポジティブ経済移行戦略と2025年7月のロードマップに基づき、情報開示、ネイチャーファイナンス、地域づくり、国際ルール形成を進める。
30by30目標に関して、2025年8月時点で陸地の約20.8%、海洋の約13.3%が保護地域に指定されている。
保護地域、OECM、自然再生、都市緑地、農山漁村、海域を連結し、保全・再生・利用を国土全体で進める構成となっている。
主要数値
- 国立公園満喫プロジェクトの対象公園数
- 全35公園
- 民間活用による全国の国立公園の魅力向上の期限
- 2031年まで
- 滞在体験の先端モデル事業の対象国立公園数
- 4つの国立公園
- 30by30ロードマップの中間評価
- 2026年度
- 国立・国定公園の候補地数
- 全国14か所
- 国立・国定公園区域への指定・編入の期限
- 2030年まで
- 国立公園の海域公園地区面積の目標
- 2030年までに倍増
- 海域で追加的に必要な保全
- 約17%
- ニホンジカ・イノシシ個体数削減目標の期限
- 2028年度まで
- ニホンジカ・イノシシ個体数削減目標
- 2011年度比で半減
影響
企業には、自然関連情報の開示、投融資・調達に関するガイドライン、価値評価手法、製品やサービスの選択に関する情報発信を通じて、生物多様性への配慮を経営や消費に組み込む機会が広がる。
地方公共団体には、地域戦略の策定、都市づくりの評価、自然を活用した防災・減災の計画策定等に関する技術的支援が提供される。自然共生サイトの認定や、認定区域のうち要件を満たす区域のOECM国際データベース登録については、制度に基づく取組が進められる。
地域では、国立公園、温泉、エコツーリズム、里地里山、農林水産業、世界自然遺産等の保全と適正利用を通じ、地域活性化と保全を結び付ける取組が進められる。
政策運営では、保護地域の指定・管理、種の保存、鳥獣被害対策、外来種規制、自然環境データの公開を組み合わせ、科学的知見とモニタリングに基づく継続的な評価・改善が重視される。
詳細
J-GBFを通じたパートナーシップを進め、生物多様性地域戦略には地域の実情に即した目標・指標・具体策を盛り込む。企業向けにはビジネスマッチング、G7での国際発信、ガイドライン策定、価値評価の試行、ネイチャーポジティブ消費の促進を行う。
自然とのふれあいでは、こどもの自然体験、全国行事、自然公園指導員・パークボランティア、国民公園、都市公園・海辺の環境教育を進める。国立公園では受入環境、多言語解説、施設再整備、ツアー、人材育成、利用者負担、企業連携、プロモーションを実施し、オーバーツーリズム対策等にも取り組む。先端モデル事業は十和田八幡平、中部山岳、大山隠岐、やんばるで実施する。
生態系ネットワークでは、コアエリア、バッファーゾーン、コリドーを配置し、森・里・川・海を連続した空間として保全・再生する。自然環境保全地域、自然公園、鳥獣保護区、生息地等保護区、天然記念物、保護林・緑の回廊、保安林、湿地、世界自然遺産等を対象に、規制、指定、施設整備、管理、モニタリングを進める。
自然再生推進法に基づき、河川、湿原、干潟、藻場、里山、森林等で、多様な主体が参加する長期的な事業を進める。都市公園の整備、緑の基本計画への配慮事項の普及、都市の生物多様性指標の活用も行う。
OECMについては、地域生物多様性増進法に基づき自然共生サイトの認定を進め、認定区域のうち豊かな生物多様性を維持する活動が行われ、既存の保護地域と重複しない場所をOECM国際データベースに登録する。企業緑地、里地里山、都市緑地、藻場・干潟、森林、河川、港湾、海域等を検討対象とし、民間の回復・創出活動には自走化・拡大支援を行い、生物多様性見える化システムを運用する。
30by30目標では、国立・国定公園の拡張等を進め、2026年度にロードマップを中間評価する。海域では約17%の追加保全が必要で、国立公園の海域公園地区面積は2030年までの倍増を目指す。
絶滅危惧種には国内希少野生動植物種の指定、生息地等保護区、保護増殖、生息域内・域外保全、野生復帰、遺伝資源保存、流通管理を適用する。第5次レッドリストの公表を進め、2025年10月設置の検討会は2026年夏頃をめどに種の保存法の報告書をまとめる予定である。
鳥獣被害対策では、ニホンジカ・イノシシを2028年度までに2011年度比で半減する目標に向けて捕獲を強化する。クマについては、2025年11月のパッケージと2026年3月のロードマップに基づき、自治体への資機材、専門人材、捕獲技術者、推計、生息環境管理を支援する。外来種では、魚類5種類の新規指定、ヒアリ探知犬等の実証、企業向けガイダンス、リスト改定を進める。
持続可能な食料システムでは、みどりの食料システム戦略と関連法に基づき、温室効果ガス、化学肥料、化学農薬の削減を促す。農林水産省の補助事業等では、2027年度から環境負荷低減を要件化する「みどりチェック」を本格実施し、新たな環境直接支払交付金の2027年度創設を検討する。
国際面ではGBF、生物多様性日本基金、GBF基金、IPBES、SATOYAMAイニシアティブ、アジア保護地域パートナーシップ、森林・砂漠化・サンゴ礁・渡り鳥の枠組みを支援する。2026年4月には南極環境保護法改正案を閣議決定し、同年5月のATCM48を広島市で開催する準備を進める。自然環境データでは調査を継続し、衛星植生図を5年間で全国整備する。