ジェトロが作成したケニアの貿易投資年報2025年版で、東アフリカ最大の経済大国であるケニアの最新の経済動向、貿易・投資環境、日本との経済関係について包括的な分析を行った重要な国別経済レポートです。本年報は、ケニア政府統計、国際機関データ、現地調査等に基づき、同国の経済構造と発展可能性を詳細に検証しています。
経済概況について、ケニアの2024年実質GDP成長率は5.6％と、コロナ禍からの回復が順調に進んでいます。名目GDPは約1,200億ドル、1人当たりGDPは約2,300ドルと、東アフリカ地域では南アフリカに次ぐ経済規模を有しています。産業構造では、サービス業が約50％、農業が約22％、製造業が約18％、建設業が約10％を占めており、サービス業主導の経済となっています。
貿易動向では、2024年の総貿易額（輸出入合計）は約240億ドルとなり、前年比8.3％増加しました。主要輸出品は紅茶（全輸出の22％）、園芸作物（18％）、コーヒー（8％）等の農産物が中心で、主要輸出先は欧州連合（35％）、東アフリカ共同体諸国（28％）、アジア（24％）となっています。輸入では、石油製品（20％）、機械類（15％）、化学製品（12％）が上位を占め、主要輸入元は中国（18％）、インド（12％）、アラブ首長国連邦（10％）となっています。
投資環境について、ケニアは東アフリカ地域のビジネスハブとしての地位を確立しており、多国籍企業の地域統括拠点が多数立地しています。世界銀行のビジネス環境ランキング（Doing Business）では190か国中56位と、アフリカ諸国の中では比較的良好な評価を得ています。投資優遇制度として、輸出加工区（EPZ）、経済特区（SEZ）等の制度が整備されており、製造業・IT関連産業への投資誘致が積極的に進められています。