ジェトロが作成したイランの貿易投資年報2025年版で、中東地域の重要な資源国であるイランの経済動向、貿易・投資環境、制裁措置の影響等について詳細な分析を行った国別経済レポートです。本年報は、国際機関統計、現地情報、専門機関調査等を総合し、複雑な政治・経済情勢下にあるイランの実態を客観的に分析しています。
経済概況について、イランの2024年実質GDP成長率は約3.2％となり、制裁措置の影響を受けながらも緩やかな回復を示しています。名目GDPは約6,500億ドル（公式レート換算）、人口約8,500万人を擁する中東地域有数の経済規模を有しています。ただし、米国による経済制裁の影響により、国際金融システムからの排除、石油輸出の制限等の制約が続いています。
エネルギー部門では、イランは世界第4位の原油確認埋蔵量（約1,580億バレル）と第2位の天然ガス確認埋蔵量（約34兆立方メートル）を保有しています。しかし、制裁措置により石油輸出量は制約を受けており、2024年の原油輸出量は日量約150万バレルと、制裁前の約250万バレルを大幅に下回っています。
製造業では、自動車産業が重要な位置を占めており、年間生産台数約100万台（うち約60万台が乗用車）を記録しています。イラン・ホドロ、サイパ等の国内メーカーに加え、制裁措置の影響で撤退した国際メーカーの技術を活用した現地生産が継続されています。