【統計公表概要】
日本銀行金融市場局が2025年9月22日に「FSBレポ統計の日本分集計結果(2025年8月分)」を公表した。本統計は2020年1月から開始され、金融安定理事会(FSB)の提言する基準に沿って、日本に所在する金融機関のレポ取引動向を月次で取りまとめている。対象金融機関は原則としてレポ取引の取引金額上位約50先で、外国金融機関の在日拠点も含む。
【データ構造と公表内容】
フローデータ: 営業日に発生した新規約定取引の取引金額を約定時の取引スタート日別に公表。2025年8月分では日次データが6月2日から8月29日まで詳細に記録されており、取引金額は約50万億円から65万億円の範囲で推移。
ストックデータ: 月末時点の取引金額を4項目で公表:(1)現先取引及び証券貸借取引、(2)現先取引、(3)証券貸借取引、(4)取引レート。取引対象は現先取引(現金と交換に債券等を特定期日に売却し将来買戻す取引)と証券貸借取引(債券等の貸出し・借入れ取引)で構成。
【市場透明性向上の意義】
FSBの国際基準: 2015年11月にFSBが公表した報告書に基づき、レポ取引等について粒度の高いデータを定期的に収集・集計する国際的な取り組み。金融庁及び日本銀行がFSB基準に沿ってデータ収集を実施。
政策的活用: わが国金融市場の安定性向上、金融機関のリスク管理、各種規制における適用状況のモニタリング等に活用。取引相手は法域別(本邦居住者、米国、欧州、その他)、業態別(銀行、ディーラー・ブローカー、その他)に分類して分析。
【データ分析の特徴】
GC/SCレポ区分: 債券銘柄を指定しない「GC(General Collateral)レポ取引」(主に資金調達目的)と特定銘柄対象の「SC(Special Collateral)レポ取引」(主に債券調達目的)を区別。CCP清算取引(清算機関の債務引受利用)と非CCP清算取引も分類。
マチュリティ分析: オーバーナイト、2日以上1週間以内、1週間超1か月以内、1か月超3か月以内、3か月超、オープンエンドの6区分で期間別動向を把握。レポレートは取引金額加重平均で算出し公表。