令和7年版警察白書は、日本の治安情勢と警察活動の現状を包括的に分析した年次報告書です。
治安情勢の現状と動向 令和6年度の犯罪情勢では、刑法犯認知件数が約70万件(前年比3.1%減)となり、長期的減少傾向が継続している一方、重要犯罪(殺人、強盗、放火等)の発生状況について詳細な統計分析を提供。特殊詐欺被害額は約441億円(前年比8.6%増)、サイバー犯罪検挙件数は約1.3万件(前年比12.4%増)と、現代社会特有の治安課題の実態と対策について詳述されています。
サイバー犯罪対策の強化 デジタル社会の進展に伴うサイバー犯罪の増加・高度化への対応として、警察庁のサイバーセキュリティ体制強化(サイバー警察局の新設、専門人材約2,000人体制の整備)、国際連携の推進、民間部門との協力体制構築(NISC、JPCERT/CCとの連携)について報告されています。
特殊詐欺対策の全国展開 高齢者を中心とした特殊詐欺被害の防止に向けた取り組み、被害状況の詳細分析(オレオレ詐欺、架空料金請求詐欺等の手口別分析)、予防啓発活動の拡充、検挙活動の成果(検挙人員約8,500人)について詳細に記載。金融機関やコンビニエンスストア等との連携による水際対策の強化も紹介されています。
交通安全対策の総合的推進 交通事故死者数の推移(令和6年:2,678人、前年比1.9%減)、高齢者交通事故対策(死者数の約6割が高齢者)、飲酒運転撲滅対策(検挙件数約1.8万件)、あおり運転対策(妨害運転罪の新設効果)など、交通安全確保に向けた総合的な取り組みについて成果指標と併せて分析されています。
災害対策・危機管理体制 自然災害への対応体制(全国約29万人の警察官による災害警備体制)、緊急時における警察活動(救出・救助活動、避難誘導、交通規制)、地域防災との連携(自治体、消防、自衛隊との連携協定)、国民保護措置の推進など、災害・危機管理分野での警察の役割と活動実績が具体的事例と併せて報告されています。
国際化対応と地域安全活動 外国人犯罪対策(検挙件数約1.7万件)、国際テロ対策、国際捜査協力について詳述。地域住民との協働による安全・安心なまちづくり、防犯ボランティア団体(約4.7万団体)との連携、子どもや女性の安全確保対策について報告されています。
警察組織の近代化 警察職員の教育・研修、装備の近代化、情報システムの整備、予算執行状況(約3.6兆円)など、効果的な警察運営に向けた取り組みが紹介されています。
本白書は、日本の治安維持と国民の安全・安心確保に向けた警察の総合的な活動状況を示す重要な政策文書として位置づけられています。