ジェトロ・ヒューストン事務所が2025年4月に作成した「テキサス州 ビジネスの魅力ガイド」で、日本企業の対米投資戦略における同州の位置づけと具体的な投資機会について分析したものです。
テキサス州は全米第2位の州経済規模を誇る巨大市場で、州内総生産(GSP)は約2.4兆ドル(2023年)に達し、これは韓国やイタリア並みの経済規模に相当します。人口3,020万人を抱える成長州で、過去10年間の人口増加率は15.9%と全米平均の7.4%を大幅に上回り、2030年には3,300万人に達する見込みです。労働力も豊富で、労働人口は1,480万人、失業率は3.4%と全米平均を下回る良好な雇用環境を維持しています。
主要産業の競争優位性
エネルギー分野では、原油生産量が全米の約40%、天然ガス生産量が約25%を占める圧倒的な地位を確立し、精製能力も全米の約30%を担っています。テクノロジー産業では、オースティン、ダラス、ヒューストンが主要拠点となり、半導体製造、ソフトウェア開発、データセンター運営で全米をリードしています。製造業では自動車、航空宇宙、化学、食品加工が集積し、特に自動車産業では年間生産台数約120万台と全米第4位の規模を誇ります。
投資インセンティブと税制優遇
テキサス州は企業にとって魅力的な税制環境を整備しており、州法人所得税が存在せず、代わりに売上高に基づく事業税(最大0.75%)のみを課税しています。さらに企業活動促進プログラム(Texas Enterprise Fund)により、大規模投資や雇用創出を行う企業に対して最大2,000万ドルの補助金を提供しています。研究開発税額控除、製造業設備投資控除、港湾利用促進インセンティブなど、多様な優遇制度も整備されています。
インフラと立地優位性
交通インフラでは、ヒューストン港(全米第1位のコンテナ取扱量)、ダラス・フォートワース国際空港(全米第2位の旅客数)など世界クラスの物流拠点を擁します。メキシコとの国境に2,000マイルの境界線を持ち、USMCA(旧NAFTA)を活用した北米市場戦略の要衝として機能します。エネルギーコストは全米平均より約20%低く、製造業の操業コスト競争力を支えています。
記事は、テキサス州が経済規模、産業集積、税制優遇、インフラ整備の全ての面で日本企業の北米展開において戦略的重要性を持つ投資先であると結論づけています。