農畜産業振興機構が農林水産省の気候変動適応計画に関連して、野菜の生産・流通現場における適応策について報告している。
気候変動による高温、多雨、干ばつなどの極端な気象現象が、野菜生産に深刻な影響を与えている。これに対し、生産現場では品種改良、栽培技術の改善、施設園芸の高度化などの適応策が講じられている。
高温対策としては、耐暑性品種の開発・導入、遮光資材の活用、細霧冷房システムの導入などが実施されている。特に施設園芸では、環境制御技術の向上により、安定した生産環境の確保が図られている。
水資源の有効活用については、点滴灌漑システムの導入、雨水利用施設の整備、節水栽培技術の普及が進められている。また、排水対策として、圃場の排水性改善や高畝栽培の導入も行われている。
流通面では、予冷施設の充実、コールドチェーンの強化により、品質保持期間の延長と食品ロスの削減が図られている。また、気象情報を活用した出荷調整により、市場への安定供給が確保されている。
地域レベルでの取り組みとして、産地間連携による供給調整、新たな産地形成、作期の分散化などが進められている。今後も継続的な技術開発と普及により、気候変動に対応した持続可能な野菜生産の実現を目指している。