公益社団法人鹿児島県糖業振興協会が2025年8月に公表した令和6年産さとうきびの生産状況と実績に関する報告です。
令和6年産の全体実績
鹿児島県の令和6年産さとうきびは、一部地域での台風による気象災害があったものの県全体では順調な生育となり、生産量55万8683トン(平年比7.5%増)、収穫面積9566ヘクタール(同0.5%増)、10アール当たり収量5840キログラム(同7.3%増)を記録しました。ただし、これらすべてが「鹿児島県さとうきび増産計画」(令和7年産目標)の目標値(収穫面積1万300ヘクタール、生産量63万700トン、単収10アール当たり6120キログラム)を下回る結果となっています。
県平均の買入糖度は13.85度(平年14.02度)で平年並みとなり、生産量の99%(55万3854トン)が分みつ糖原料用として6社7工場で製糖されました。栽培型別では株出しが7168ヘクタール(75%)、春植えが1445ヘクタール(15%)、夏植えが953ヘクタール(10%)の構成比となっています。
島別の生産状況
種子島では収穫面積2339ヘクタール(平年比4.6%増)、生産量16万1354トン(同21.0%増)、10アール当たり収量6898キログラム(同15.4%増)と大幅な増産を記録し、令和4年産から一般栽培が開始された新品種「はるのおうぎ」が59%を占めました。沖永良部島も収穫面積1765ヘクタール(同5.7%増)、生産量10万6867トン(同25.0%増)、10アール当たり収量6054キログラム(同16.5%増)と好調でした。
一方、喜界島は台風10号(8月)と台風13号(9月)による茎の折損・葉の裂傷により、収穫面積1357ヘクタール(平年比1.2%増)に対し生産量6万7121トン(同9.4%減)、10アール当たり収量4946キログラム(同9.8%減)と平年を下回りました。徳之島は県全体の33%を占める最大産地で、収穫面積3143ヘクタール(同4.9%減)、生産量17万2944トン(同1.7%増)となっています。
機械化の進展と製糖工場の状況
ハーベスタによる機械収穫は収穫面積全体の97.4%(約9319ヘクタール)で実施され、特に喜界島では98.8%に達しています。県では平成23年度から耐用年数を経過したハーベスタの長寿命化事業を実施し、令和6年度までに87台の機能向上を支援しました。
分みつ糖工場(1島1社の6島6社7工場体制)における令和6/7年期の原料処理量は55万3854トン(前年同期比8.3%増)で、平均買入糖度は13.85度(前年より1.28度低下)でしたが、産糖量は6万3520トン(同0.8%増)と前年を502トン上回りました。
記事は、令和7年産目標達成に向け担い手育成、機械化推進、技術対策などを継続し、令和18年までの10年間を指針とする新たな増産計画を令和7年度に策定予定と結論づけています。