日本銀行が2025年7月31日に公表した経済・物価情勢の展望について、経済成長と物価動向の見通しを詳細に分析したものです。
経済情勢の現状と見通し
日本経済は一部に弱めの動きがみられるものの、緩やかに回復しています。海外経済は各国の通商政策等の影響を受けて一部に弱めの動きもみられますが、総じて緩やかに成長しており、輸出や鉱工業生産は一部に米国の関税引き上げに伴う駆け込みとその反動の動きがみられるものの、基調としては横ばい圏内での動きを続けています。
企業収益は改善傾向にあり、業況感は良好な水準を維持しており、設備投資は緩やかな増加傾向にあります。個人消費は物価上昇の影響などから消費者マインドに弱さがみられるものの、雇用・所得環境の改善を背景に底堅く推移しています。住宅投資は弱めの動きとなっており、公共投資は横ばい圏内の動きとなっています。
物価動向の分析
消費者物価(除く生鮮食品)の前年比は2025年度に2%台後半となったあと、2026年度は1%台後半、2027年度は2%程度となると予想されています。この間の米などの食料品価格上昇の影響等から、足もとでは3%台前半となっています。予想物価上昇率は、緩やかに上昇しています。
消費者物価の基調的な上昇率は、成長ベース鈍化などの減速を受けて伸び悩むものの、その後は成長率が高まるもとで人手不足感が強まり、中長期的な予想物価上昇率が上昇していくことから、徐々に高まっていくと予想され、見通し期間後半には「物価安定の目標」と概ね整合的な水準で推移すると考えられています。
リスク要因と政策方針
リスク要因として様々なものがあるが、とくに各国の通商政策等の今後の展開やその影響を受けた海外の経済・物価動向を巡る不確実性は高い状況が続いており、その金融・為替市場や内外経済・物価への影響については、十分注視する必要があります。リスクバランスをみると、経済の見通しについては2025年度と2026年度は下振れリスクの方が大きく、物価の見通しについては概ね上下にバランスしています。
記事は、日本経済が緩やかな回復基調を維持しつつも、海外要因の不確実性や物価動向に注意深く対応していく必要があると分析しています。