労働環境の厳しい職場で働く従業員の年金制度改善に向けた重要な法制度が整備されました。チェコのペトル・パベル大統領が署名した新法により、2026年1月から、リスク度第3種に分類される職務(振動、低温・高温環境、重労働等)に月3シフト以上従事する労働者について、雇用者が基本給の4%を当該労働者の個人年金保険に支払う義務が発生します。この制度により、危険な労働環境で働く労働者の将来の生活安定と早期退職への備えが可能となり、労働市場における社会保障の格差是正が期待されます。
リスク度第3種の具体例としては、128~134デシベルの振動が手に伝わる作業、30キログラム超(女性の場合15キログラム超)の重量物運搬作業などが含まれます。これらは、既に承認された年金制度改革により最大5年の年金受給開始繰り上げが可能な第4種には含まれませんが、依然として健康リスクが高い作業として位置付けられています。フィアラ首相は「労働者が年金受給年齢到達前の期間の生活コストを賄えるようになる」と制度の意義を説明しています。
一方で、企業側からは強い反発の声が上がっています。チェコ商工会議所は「企業の管理業務とコストに多大な負担を与え、特に中小企業に悪影響を及ぼす」として、雇用主への新たな義務課題、社内手続きの変更、労働シフトや拠出金記録システムの整備、情報・給与システムの改修等により、管理業務負担の増加と相当なコスト発生を懸念しています。この制度は、労働者の社会保障向上と企業の経営負担のバランスをいかに取るかという欧州共通の課題を浮き彫りにしており、他のEU諸国における同様の政策動向にも影響を与える可能性があります。
労働市場における格差是正と企業の競争力維持の両立は、日欧企業関係においても重要な検討事項であり、特に製造業や建設業など物理的リスクの高い業種での人材確保と労働者保護のバランスが今後の焦点となります。