ジェトロが2025年7月に公表したモロッコ市場の消費者動向調査レポートで、人口約3,800万人を擁する北アフリカの重要な消費市場であるモロッコのライフスタイルと消費パターンの変化について包括的な分析を行った市場調査です。本調査は、カサブランカ、ラバト、マラケシュ、フェズの主要都市部住民2,000人を対象に実施されました。
マクロ経済環境では、モロッコの1人当たりGDPは約3,200ドル（2024年）で、中間層人口は約800万人（全人口の約21％）と推計されています。失業率は約12％と比較的高く、特に若年層（15-24歳）では約28％と深刻な問題となっています。フランス語とアラビア語のバイリンガル環境により、フランス系企業の進出が多く、消費文化にも影響を与えています。
消費支出構造では、食費が家計支出の約40％を占め、住居費約25％、衣料品約10％、交通費約8％となっています。食文化では、伝統的なモロッコ料理（タジン、クスクス等）が根強い一方、都市部の若年層では国際的な料理への関心も高まっています。宗教的制約（ハラル食品）への配慮は必須で、豚肉・アルコール類の消費は極めて限定的です。
小売・流通チャネルでは、伝統的な市場（スーク）が依然として重要な役割を果たしており、全小売売上の約45％を占めています。近代的な小売チェーン（カルフール、マルジャン等）のシェアは約30％で、特に都市部の中高所得層に浸透しています。コンビニエンスストア業態は まだ発達段階にあり、個人商店が約25％のシェアを維持しています。