農畜産業振興機構が発行する「畜産の情報」2025年8月号について、主要なトピックを報告している。
国産チーズスターター(発酵種菌)の普及・定着への取り組みが特集されている。従来、チーズ製造に使用されるスターターの多くが輸入に依存していたが、国産スターターの開発と実用化により、日本独自のチーズ作りが可能となりつつある。
国産スターターの特徴として、日本の気候風土に適応した発酵特性、和風テイストの付与、安定した品質管理などが挙げられる。特に、醤油や味噌などの伝統的発酵食品由来の菌株を活用することで、独特の風味を持つチーズの開発が進んでいる。
普及促進策では、酪農家・チーズ製造業者への技術指導、試作支援、品質評価システムの構築などが行われている。また、6次産業化の一環として、小規模チーズ工房での活用も推進されている。
世界の畜産物需給については、主要国の生産動向、貿易動向、価格推移などが詳細に分析されている。特に、気候変動、飼料価格の変動、家畜疾病の発生などが需給に与える影響が注目されている。
牛肉については、北米の生産回復と輸出増加、南米の干ばつ影響、オセアニアの安定供給などが報告されている。豚肉では、ASF(アフリカ豚熱)の影響継続と各国の防疫対策強化の状況が分析されている。
鶏肉・鶏卵市場では、鳥インフルエンザの発生状況と価格への影響、代替タンパク質との競合などが取り上げられている。今後の見通しとして、持続可能な畜産業の構築と国際競争力の強化が重要な課題とされている。