農畜産業振興機構が国産チーズスターター(発酵種菌)の普及・定着に向けた取り組みについて詳しく報告している。
チーズ製造において、スターターは品質や風味を決定する重要な要素であるが、従来は海外からの輸入に大きく依存していた。国産スターターの開発により、日本独自のチーズ作りと原料の安定確保が可能となっている。
技術開発では、日本の伝統的発酵食品由来の乳酸菌を活用し、日本人の嗜好に合う風味特性を持つスターターの開発が進んでいる。特に、醤油や味噌の製造過程で分離された菌株の応用により、独特のうま味を付与することが可能となっている。
品質管理面では、菌株の純度管理、発酵活性の維持、品質の標準化が重要な課題となっている。国産スターターの製造・供給体制の確立により、安定した品質のスターターを継続的に提供できる体制が整備されている。
普及活動では、チーズ製造技術者向けの研修会、実証試験の実施、成功事例の紹介などが行われている。また、小規模なチーズ工房でも使いやすい形態での供給や、技術指導の充実も図られている。
市場での評価では、国産スターターを使用したチーズが独特の風味で差別化され、消費者からも高い評価を得ている。特に、地域の特色を活かしたチーズ作りにおいて、国産スターターの役割が重要となっている。
今後は、スターターの種類拡充、コスト削減、海外展開なども視野に入れた発展が期待される。