農畜産業振興機構が中国産野菜の安全管理体制と主要輸出産地の実態について調査した結果を報告している。
中国は日本への野菜輸出において最大のシェアを占めており、その安全管理体制の向上が日本の食料安全保障にとって重要な課題となっている。近年、中国政府は食品安全法の改正や監督体制の強化により、農産物の安全管理レベルの向上を図っている。
主要輸出産地では、GAP（適正農業規範）の導入、残留農薬検査の強化、トレーサビリティシステムの構築が進んでいる。特に、日本向け輸出に特化した産地では、日本の基準に対応した厳格な管理が実施されている。
具体的な取り組みとして、栽培記録の義務化、使用農薬の限定、収穫前検査の徹底などが行われている。また、輸出業者による産地指導や品質管理の強化も進んでいる。
検査体制については、産地での一次検査、集荷場での二次検査、輸出港での最終検査という3段階の検査システムが確立されている。さらに、第三者認証機関による認証取得も増加している。
課題としては、小規模農家への指導の徹底、検査技術の向上、コスト負担の問題などが挙げられる。また、新たな農薬の使用や気候変動による病害虫の発生パターンの変化への対応も必要とされている。
今後は、二国間での技術協力の強化、情報共有システムの構築、相互認証制度の検討などにより、より安全で信頼性の高い輸入体制の確立を目指している。