フリーランスへの団結権保障は「集団的物乞い」の承認で足りるか～EUにおける経緯と議論から：ストライキ

井川志郎中央大学教授による論文で、フリーランス労働者の団結権保障をめぐるEUの議論と政策展開を詳細に分析しています。フリーランスなど非雇用労働者の増加に伴い、従来の労働法制度では保護されない労働者の権利保障が重要課題となっています。EUでは、競争法（独占禁止法）との関係でフリーランスの団体交渉権が制約されてきましたが、近年、労働者保護の観点から政策転換が図られています。本稿では「集団的物乞い」という批判的表現を用いつつ、フリーランスの団結権が単なる形式的権利に留まるリスクを指摘し、実効性のある権利保障のあり方を検討しています。特に、プラットフォーム労働者、ウーバー運転手、配達員などの具体的事例を通じて、デジタル経済下での新たな労働形態における集団的労使関係の可能性と限界を明らかにしています。日本でもフリーランス保護法制定など同様の課題が浮上しており、EU の経験から学ぶべき点が多く示されています。