農畜産業振興機構が米国の農業分野における労働力問題と連邦政府の取り組みについて詳しく報告している。
米国農業では深刻な労働力不足が課題となっており、特に季節労働者や専門技術労働者の確保が困難な状況が続いている。農業労働者の高齢化、若者の農業離れ、移民政策の変化などが複合的に影響している。
連邦政府の対策として、H-2A査証制度の拡充、農業労働者への技術訓練支援、自動化・機械化への補助金などが実施されている。特に、季節労働者の受け入れ制度の柔軟化により、労働力不足の緩和を図っている。
技術革新による対応では、AI・IoT技術を活用した自動化、ロボット技術の導入、精密農業の推進により、労働力依存度の低減を目指している。特に、収穫作業の自動化は急速に進展している。
労働環境の改善では、労働者の安全確保、適正賃金の確保、住環境の整備などが重視されている。また、農業労働者の社会保障制度の充実も図られている。
州レベルでの取り組みでは、カリフォルニア州、フロリダ州、テキサス州などの主要農業州が独自の労働力確保策を実施している。地域の実情に応じた柔軟な対応が重要とされている。
国際協力では、メキシコをはじめとする近隣諸国との労働協定の強化、技術協力の推進などが行われている。また、農業技術の普及により、労働生産性の向上も図られている。
今後は、持続可能な労働力確保システムの構築と、技術革新による効率化の両面からの対応が重要となる。