農畜産業振興機構が気象の影響による野菜の入荷変動に対する卸売市場の需給調整機能について報告している。
気候変動により、野菜の生産量や品質が大きく変動する中、卸売市場の需給調整機能がますます重要になっている。入荷過剰時には価格下落を防ぎ、不足時には安定供給を確保する市場機能の強化が求められている。
入荷過剰時の対応としては、加工業者や業務用需要への振り向け、冷凍・冷蔵による保管、他地域への転送などが行われている。また、規格外品の有効活用により、食品ロスの削減も図られている。
不足時の対応では、他産地からの緊急調達、輸入品の活用、代替品の提案などにより、消費者への安定供給を維持している。市場関係者間の情報共有により、迅速な対応が可能となっている。
価格形成機能については、需給バランスを反映した適正価格の形成により、生産者の経営安定と消費者の安定購入を両立させている。特に気象災害時には、市場の価格調整機能が重要な役割を果たしている。
情報機能の強化では、気象情報と連動した入荷予測システムの構築、産地との情報共有の強化、需要者への情報提供の充実が図られている。
今後は、デジタル技術を活用した需給予測の高度化、産地との連携強化、物流の効率化により、市場機能の更なる向上を目指している。気候変動に対応した持続可能な野菜流通システムの構築が重要な課題となる。