農畜産業振興機構が2025年夏の記録的高温による野菜生産への影響と全国の産地で効果のあった適応策について報告している。
2025年夏は記録的な高温により、全国の野菜産地で大きな被害が発生した。特に葉菜類では、高温による品質低下や収量減少が深刻で、レタス、キャベツ、ホウレンソウなどで大きな影響がみられた。
効果的な適応策として、遮光ネットの設置による温度低減、細霧冷房システムの導入、耐暑性品種への転換などが挙げられる。北海道や長野県の高冷地産地では、これらの対策により被害を最小限に抑えることができた。
施設園芸では、パッドアンドファン方式の冷房システム、遮熱塗料の施用、換気扇の増設などにより、施設内温度の上昇を抑制する取り組みが効果を上げている。また、夜間冷房による日中の蓄熱対策も有効とされている。
作型の変更については、播種時期の前倒しや後ずらし、栽培期間の短縮、冷涼地への産地移転などが実施されている。特に、従来の産地では栽培が困難になった品目について、より冷涼な地域での新たな産地形成が進んでいる。
水管理では、点滴灌漑による効率的な水分供給、マルチ栽培による土壌水分の保持、地下水の活用などが効果的とされている。
今後は、これらの適応策を体系化し、産地の実情に応じた技術パッケージとして普及を図る必要がある。また、新たな技術開発と併せて、産地間連携による安定供給体制の構築も重要な課題となる。