群馬県金融経済概況(2025年7月)
要約
群馬県経済は、生産は横ばい圏内の動きとなっている。
産業別生産指数をみると、2025年5月の生産は前年同月比で輸送機械工業が11.7%増、食料品工業が17.2%増と増加した一方、汎用・生産用・業務用機械工業は10.7%減、電気機械工業は9.3%減と減少している。全体では前年同月比8.3%増となり、月次でばらつきはあるものの横ばい圏内で推移している。
雇用・所得環境は改善している。有効求人倍率は2025年5月時点で1.33倍と高水準を維持し、新規求人倍率も2.0倍を超える水準で推移している。雇用保険受給者数は前年を下回る水準で推移しており、雇用情勢は着実に改善している。人手不足が引き続き課題となっている。
消費者物価指数(生鮮食品を除く総合)は、食料(生鮮食品を除く)を中心に前年を上回っている。2025年5月の総合指数は前年同月比3.6%上昇、生鮮食品を除く総合は3.2%上昇となった。エネルギー価格の上昇一服により上昇率は鈍化傾向にあるものの、食料品を中心に物価上昇圧力は継続している。
企業倒産は、負債総額は低水準で推移しているが、件数は感染症拡大前を上回る水準まで増加している。2025年4月は9件、5月は12件の倒産が発生し、小規模事業者を中心に経営環境の厳しさが続いている。
金融面では、実質預金は個人を中心に前年を上回っている。貸出金は、法人向けの運転資金需要を背景に前年を上回っている。預金は2025年5月時点で前年同月比2.5%増、貸出金は同2.7%増となっており、金融機関の資金仲介機能は円滑に働いている。
今後の見通し
群馬県経済は、雇用・所得環境の改善を背景に個人消費が底堅く推移し、設備投資も人手不足対応や脱炭素関連投資を中心に増加基調を維持すると見込まれる。生産は、自動車関連を中心に持ち直しの動きが期待されるが、海外経済の不確実性や半導体不足の影響などに注意が必要である。物価は、エネルギー価格の落ち着きから上昇率は鈍化するものの、食料品価格を中心に当面は前年を上回る水準で推移すると予想される。