ドイツ:フルタイム労働者の中央値年収は5万2159ユーロ ―連邦統計局
概要
連邦統計局の発表によると、2024年のドイツにおけるフルタイム雇用労働者の年収中央値は5万2159ユーロであった。一方、平均年収は6万2235ユーロと中央値を1万ユーロ以上上回っており、超高額所得者が平均値を押し上げていることが明らかとなった。この統計は2024年中に7カ月以上就業したフルタイム雇用労働者を対象とし、休暇手当やクリスマス手当などの特別手当も含んで集計されている。
所得格差の実態
年収分布のパーセンタイル分析では、上位1%(年収21万3286ユーロ以上)と下位10%(年収3万2526ユーロ以下)の間に約7倍の格差が存在している。特に中央値以上の上位層では所得格差が顕著で、上位1%の年収は中央値の4倍を超えている。下位層の年収は3〜4万ユーロ台に集中する一方、上位層は5〜9万ユーロ台と大きく分散している。90パーセンタイル(上位10%)は9万7680ユーロ、80パーセンタイル(上位20%)は7万7105ユーロと、中央値を大幅に上回る水準となっている。
中央値と平均値の差の意味
連邦統計局は、フルタイム雇用労働者の中央値年収が5万2159ユーロであるのに対し、平均年収が6万2235ユーロと1万ユーロ以上高くなっている点について、超高額所得者の存在が平均年収を押し上げていると分析している。中央値は全ての年収を小さい順に並べた際の中央に位置する金額で、平均値は全体の年収総額を人数で割った金額である。現地報道では、平均年収よりも中央値年収を用いることで極端な値の影響を避け、より多くのフルタイム労働者の実態に近い数値を示すことができると評価されている。
政策との関連性
最低賃金委員会は1月に公表した新たな手続規則で、従来の「協約賃金の動向(上昇率)」などの判断指標に加え、「フルタイム雇用労働者の賃金中央値の60%」という新たな参照指標を導入しており、賃金中央値への関心が高まっている。この統計は今後の最低賃金設定や労働政策の基礎データとして重要な役割を果たすと考えられる。