令和6年度における「大阪・夢洲地区特定複合観光施設区域の整備に関する計画」の実施の状況の評価について

令和6年度における「大阪・夢洲地区特定複合観光施設区域の整備に関する計画」の実施の状況の評価について

観光庁が2025年8月8日に公表したこの評価は、大阪府が申請した統合型リゾート（IR）の整備計画について、令和6年度（2024年度）における実施状況を評価したものです。

評価の法的根拠と意義

この評価は、特定複合観光施設区域整備法（IR実施法）に基づいて実施される法定評価です。同法では、認定された区域整備計画について、国土交通大臣（観光庁）が毎年度実施状況を評価し、必要に応じて改善措置を求めることが定められています。本評価は、大阪・夢洲地区のIR計画が2022年4月に認定されて以来、3回目の年次評価となります。

大阪・夢洲地区IR計画の概要

大阪・夢洲地区のIR計画は、大阪市の人工島である夢洲において、カジノ、ホテル、MICE施設、エンターテインメント施設、商業施設等を一体的に整備する国内初の統合型リゾート計画です。2030年代前半の開業を目指しており、年間来場者数約2,000万人、経済波及効果約1.1兆円を見込んでいます。

令和6年度の実施状況

令和6年度においては、事業者であるMGM大阪とオリックスのコンソーシアムが、詳細設計や環境影響評価、各種許認可手続きを進めました。特に、カジノ管理委員会による事業者の適格性審査が継続して実施され、ギャンブル等依存症対策やマネーローンダリング対策の具体的な実施体制の構築が重点的に評価されました。

インフラ整備の進捗

交通インフラについては、大阪メトロ中央線の夢洲延伸工事が順調に進捗し、2025年大阪・関西万博に合わせた暫定開業に向けた準備が着実に進められています。また、夢洲内の道路整備や上下水道、電力供給設備等の基盤インフラ整備も計画に沿って実施されています。

依存症対策とコンプライアンス体制

IR事業における最重要課題であるギャンブル等依存症対策については、専門医療機関との連携体制の構築、相談窓口の設置準備、従業員研修プログラムの開発等が進められました。また、マネーローンダリング対策として、顧客管理システムの構築や suspicious取引の監視体制の整備が実施されています。

地域貢献と観光振興への取り組み

地域への貢献策として、大阪府内の中小企業との連携促進、地元人材の雇用創出、関西圏の観光資源との連携強化等の取り組みが具体化されています。特に、関西国際空港からのアクセス向上や、京都・奈良等の歴史文化資源と連携した周遊観光ルートの開発が進められています。

今後の課題と展望

評価では、計画の進捗は概ね順調であるものの、建設費の上昇や労働力不足への対応、依存症対策の実効性確保等が継続的な課題として指摘されています。また、2025年万博開催を見据えた工事スケジュールの調整や、国際的な競争力を持つIRとしての差別化戦略の具体化も重要な検討事項とされています。

記事は、日本初のIR計画が法的要件を満たしながら着実に進捗していることを示し、今後の本格的な建設段階に向けた準備状況を総合的に評価しています。